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小島健輔リポート 「ザラ」はなぜECを拡大しても店舗売り上げが伸びるのか

9/20(金) 7:00配信

WWD JAPAN.com

ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する不定期連載をスタート。第1回はECと店舗売り上げの関係と、勝ち組「ザラ」の戦略を深掘りする。

【画像】小島健輔リポート 「ザラ」はなぜECを拡大しても店舗売り上げが伸びるのか

「ECにお客が流れて店の売り上げが落ちている」と嘆く店長の声を聞くことがあるが、それって本当なのだろうか。同じブランドでECが伸びたら店舗の売り上げは減るのだろうか。EC比率がどこまで上がったら店舗の売り上げが落ち始めるのだろうか。

"■ECが伸びても店舗売り上げは落ちない"

そのブランドの商圏顧客数も1人当たり購入額も一定であるなら、ECが伸びた分、店舗売上は減りそうなものだが、必ずしもそうはならず、逆に店舗売り上げが伸びるケースもある。そのわけは、ECは新規顧客を開拓する広告効果が大きいからだ。

ECサイトには、広告媒体的な新規顧客獲得効果や店舗に顧客を誘導するウェブルーミング効果があり、ECで得られた新規顧客の売り上げは店舗売り上げの減少をもたらさないし、ECで得た情報を実体験しようと店舗を訪れる顧客が店舗の顧客になれば、店舗の売り上げも増える。オープン流通の家電などでは各ECや各店舗で売価が競われるから、店舗からECへ顧客が流れるショールーミング効果が大きいが、直営店やFC(フランチャイズ)店に販路が限定されるファッションブランドでは売価が競われず(ブランド統一の値引きやセールは多いが)、ウェブルーミング効果の方がはるかに大きい。

SPAC※1のメンバー企業の平均では、店舗だけで購入する顧客/ECだけで購入する顧客/両方で購入する顧客の比率はほぼ7対2対1。年間の購入額は、店舗だけの顧客を100とすればECだけの顧客は67、両方で購入する顧客はなんと220もなる。ECだけの顧客が店舗でも購入するようになると67が220に増える可能性があり、2割を占めるEC顧客の全員が店舗でも買うようになってくれれば両方で購入する顧客が1割から3割に増え、皮算用では店舗売り上げが28.3%も増える。

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最終更新:9/27(金) 11:22
WWD JAPAN.com

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