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これは「戦争行為」だ──サウジの石油施設が大炎上、本当の

9/21(土) 15:00配信

クーリエ・ジャポン

サウジアラビアが文字通り「大炎上」したのは、9月15日のこと。

事件発生当初、カタールTV「アルジャジーラ」は、「(サウジアラビアと戦闘状態にあった)イエメンの反政府勢力フーシ派が行なった攻撃で、国営石油会社サウジアラムコの石油施設2つが火事になり、石油の生産と輸出が妨害されている」と報じた。

以降、騒動はどんどん大きくなっている。被害状況などを受けた米国務省は早々と、この攻撃は(サウジアラビアやアメリカと対立する)イランが支援しているイエメンのフーシ派からではなく、イランそのものからの攻撃であると主張。

米TV「NBCニュース」は、マイク・ポンペオ国務長官が「イランが世界のエネルギー供給源に対する未曾有の攻撃を行なった」と批判すると、イラン外務省は、「そうした非難と、盲目的で無益なコメントは意味がない」と反発したことを伝えた。

ポンペオはその後、アメリカの情報機関がイランからの攻撃であるとの確信を持っているとし、イランの行為が「戦争行為である」とまで発言している。

サウジは、ミサイルなどの残骸を提示した会見を開き、18機のドローンと4つの巡航ミサイル、そして3つのミサイルは墜落したと報告した。英公共放送「BBC」によれば、「18機のドローンが、サウジアラビア東部のアブカイクにあるサウジアラムコの石油施設を攻撃した。また7つの巡航ミサイルが発射され、4つはクライスの石油施設を攻撃し、3つはアブカイクの施設に届かなかった」という。
とにかく、ライバル国であるサウジに対して、イランまたはイランと手を組んだフーシ派が攻撃を行なったと考えられるが、この時期のこの地域には他にも思惑が入り混じっていた。

まずはイランだ。すでに始まっている国連総会で、ドナルド・トランプ大統領とイランのハッサン・ロウハニ大統領が会談するという話が出ていたことで、利害関係者がざわついていた。

今回のサウジへの攻撃は、アメリカとイランが近づくことを阻止しようとしたイラン保守派、またはイラン革命防衛隊が背後にいるとの見方も出ている。米TV「CBSニュース」は、「イランの最高指導者で保守派のハメネイ師が、イランの関与がバレないようにするとの条件でサウジ攻撃を承認した」と、報じている。

イランと敵対関係にあるイスラエルでは、総選挙が17日に実施された。実は、イスラエルではもともと4月に総選挙が行われたのだが、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が組閣できなかったために、再選挙となっていた。

米ニュースサイト「アクシオス」が報じているように、タカ派のネタニヤフ率いる右派のリクード党にしてみれば、中東の大国であるサウジやイランがからんで混乱しているほうが、選挙戦でも都合がいいという思惑があったかもしれない。

結果的に、イスラエル紙「ハアレツ」によれば、「ネタニヤフ首相は過半数を確保できなかった」「ネタニヤフは『政治的な状況』のために国連総会を欠席する」と報じ、前回とは違ってネタニヤフのリクード党や中道野党連合「青と白」が手を組んで組閣する可能性も報じられている。

2020年の大統領選に向け、トランプはイランとの戦争は望んでいないが、周囲の利害関係者が波風を立てるなど、ことによっては何らかの形で軍事行動が起きる可能性もある。まだ中東から目が離せない。

Toshihiro Yamada

最終更新:9/21(土) 15:00
クーリエ・ジャポン

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