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ウェイトレスの「ブラ見せ」反撃が意味すること─イスラエルで激化する宗教と世俗

9/21(土) 16:00配信

クーリエ・ジャポン

エルサレムの中心部で異様な衝突が起こった。カフェのウェイトレスたちが店の前に並び、シャツをめくり上げてブラを見せている。彼女たちが対峙しているのは、ユダヤ教超正統派の衣装をまとった男たちの大群だが、後ろ向きでなにか叫んでいる。

この衝突が現在のイスラエルを象徴する光景だという。その理由とは──。

ブラ見せカウンター

エルサレム中心部にあるビーガンでLGBT歓迎のカフェ「バステト」は、土曜日に軽食をとりたい住人たちにとってのオアシスだ。土曜日はユダヤ教の安息日であり、街の営みの大半が休止するからだ。

だが、バステトが青いテーブルを歩道に並べるその通りを毎週、ユダヤ教超正統派の男たちが行列して、いつものように通り過ぎていく。なかには最高級の毛皮帽子と金のローブをまとった者もいる。彼らはカフェが休息の日を冒瀆していることへの不快感を示しているのだ。

「シャボス!」と彼らは連呼する。イディッシュ語で安息日(ヘブライ語でシャバト、転じて英語でサバス)を意味する単語だ。

最近のとある土曜日、ウェイトレスたちは反撃に出た。シャツをめくり上げてブラジャーを露わにし、宗教的保守のデモ隊を押し返そうとしたのだ。
この対立は、まさに現代イスラエル国家の本質をめぐる緊張関係を反映している。非宗教(世俗)的なシオニストたちによって建国されたイスラエルではいまや、極めて宗教的な住民が増え影響力を増しているのだ。

世俗か宗教か

2019年5月末、その緊張関係が最もくっきり浮き彫りになった。これにより、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の新政権樹立の試みは阻まれ、2019年2度目の国民投票が実施されるまでになったのだ。

ネタニヤフが議会で与党過半数を占めるには、2つの相争う派閥、すなわち世俗派と宗教派の双方が必要だった。だが両者は、超正統派からも他のイスラエルのユダヤ人と同様に徴兵する法案をめぐってこう着状態に陥ってしまった。

極めて宗教的な諸派が徴兵に反対する理由がある。徴兵は自分のところの若者たちを世俗的な生活と価値観にさらすもので、それによって世俗から隔絶した自分たちの共同体を同化させる企てだと見なしているのだ。

一方で、超国家主義的な元国防相アビグドル・リーベルマンは、自らの政治基盤である世俗的ロシア語話者移民に向けた訴えの根幹として、超正統派の影響力への抵抗を打ち出した。
リーベルマンの側近曰く、徴兵問題はあくまでも、少数派共同体に関して彼が抱いている大きな懸念の一部だという。そうした共同体は、国家の福祉支給と税控除を受けながら、他のイスラエル人納税者よりも貢献度が低いとリーベルマンは見ているのだ。

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最終更新:9/21(土) 16:00
クーリエ・ジャポン

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