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アルゼンチンにデフォルト再来懸念

9/21(土) 18:03配信

Japan In-depth

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【まとめ】

・大統領予備選で財政規律派現職が大衆迎合的な左派に大差で敗北。

・本選で左派勝利なら貧困層優遇のバラマキ政策で財政赤字膨張。

・国際的にアルゼンチンのデフォルト再来懸念が増しつつある。

南米の大国アルゼンチンでは今秋の大統領選挙を控え左派ポピュリスト勢力が勢いを増す中、経済不安の深刻化と相まって国際金融界に新たな新興国リスクとして懸念が広がりつつある。



■ 大統領選予備選で現大統領が衝撃的大敗

8月11日アルゼンチン政界には衝撃が走った。10月27日の大統領選本選の行方を占うものとして注目されていた予備選で経済改革を進める中道右派のマクリ現大統領が、野党の左派候補フェルナンデス元首相に15ポイントもの大差をつけられ敗北したからだ。

これを受けアルゼンチン通貨ペソは対ドルレートで約25%以上暴落した。同国の株式、債券市場も大幅下落、いわゆる市場全面安の様相を呈した。

国際通貨基金(IMF)の支援を受け財政規律重視の経済政策を進めていたマクリ大統領が大統領選本選で敗北し、大衆迎合的政策を掲げる政権が誕生するとの観測が内外に広がったためである。

米S&Pグローバル・レーティングスはじめ欧米の格付け会社は相次いでアルゼンチン国債の格付けを引き下げた。

■ 景気低迷、インフレと失業が増大

マクリ政権は2015年12月の発足以降、前政権下で膨らんだ財政赤字の縮小、為替・貿易・資本規制の撤廃など構造改革を推進したが、昨年春以降、米国の金利上昇などからアルゼンチン・ペソの大量売りに見舞われ、経済危機に直面。マクリ政権はIMFから、財政健全化などを条件に最終的に総額560憶ドルの支援を受けることになった。

しかし、アルゼンチン経済は一部好転の兆しが見られたものの、金融引き締めによって景気が一層低迷する一方、インフレが高騰し、失業が増大した。マクリ大統領の人気は急降下、今回の大統領予備選の事前予想でも、野党候補のフェルナンデス元首相に敗北するとの見方が強まっていた。だが、15%もの大差をつけられるとは現地のほとんどの政治アナリストにとっても予想外だった。



■ 左派候補当選の可能性は「80%」

マクリ大統領は予備選での敗北後、人気挽回を図るべく最低賃金の引き上げや200万人の労働者を対象とした減税、公務員への一時金支給など緊急政策を打ち出した。

しかし、これらは同大統領自らが否定してきたポピュリズム的政策であり、「大統領が選挙目当てに従来の方針をあっさり捨て去った」と厳しい批判を浴びる始末。加えてマクリ大統領の政策転換を批判して財務相が辞任するなど混乱に拍車をかける結果を招いた。

今後の焦点はマクリ大統領が劣勢をはね返し大統領本選で逆転勝利できるかどうかだ。

ブエノスアイレスの有力政治アナリストの多くは「本選挙までに予備選での15ポイントの差を縮小させるのは大統領陣営にとってほぼ不可能」」と否定的。一部現地メディアの中には「野党フェルナンデス候補の当選は80%確実」と予想するところもある。



■ 貧困層優遇の野党副大統領候補の動向に注目

アルゼンチンの多くの経済アナリストがほぼ一様に指摘するのは、左派のフェルナンデス元首相率いる政権が誕生すればバラマキ政策が実施される可能性が高いという点だ。というのも、フェルナンデス氏は副大統領候補として貧困層優遇策を強引に進めたクリスチーナ・フェルンナデス前大統領を擁しているからである。ただし、両者の間に血縁関係はない。

クリスチーナ・フェルナンデス前大統領は自由貿易の制限や資本・為替規制といった保護主義路線の下、価格統制や各種補助金拡大などさまざまなバラマキ政策を実施し、「膨大な財政赤字を生み出した張本人」(アルゼンチン有力経済紙)とされている。

前大統領は当初、大統領候補として立候補する考えだったが、政権担当時代の汚職容疑などで起訴されたため、今回の大統領選ではフェルナンデス元首相を大統領候補に推薦、自分は副大統領候補に回ったといわれる。だが、両コンビの力関係では圧倒的にクリスチーナ前大統領の方が強く、実権を握っているとの見方が有力。「左派の新政権が誕生した場合、それは彼女の傀儡政権になる」(在ブエノスアイレス外交筋)と見る向きが圧倒的。

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最終更新:9/21(土) 18:04
Japan In-depth

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