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「0秒で動け」 一歩踏み出せない人に動くコツを伝授

9/21(土) 6:20配信

NIKKEI STYLE

伊藤羊一『0秒で動け』

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。9月はここまで台風など天候不順もあって来店客が少ない日もあったが、ビジネス書はおおむね前年並みの売れ行き。生き方、考え方を説くタイプの本が売り上げを引っ張る。そんな中、息の長い売れ筋が並ぶ上位に割って入ってきたのは、ビジネスの中で動けない人へ向けてどうすれば動けるようになるかを説いた一冊だった。

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ベストセラー『1分で話せ』著者の新作

その本は伊藤羊一『0秒で動け』(SBクリエイティブ)。著者の伊藤氏は前著『1分で話せ』(2018年3月刊)がベストセラーになったヤフーアカデミア学長で、グロービス経営大学院や様々な企業で次世代リーダー育成を手がける。前著で伝える技術を説いた同氏が次に打ち出したテーマが行動する技術ということになる。

伊藤氏の本の魅力は、自分の体験にひき付けた書き方にある。伊藤氏は問う。「朝起きるのも、会社に行くのもつらかった私が、なぜ動けるようになったのでしょうか」。20代の頃、「成果を出す以前に何も動けない状態」だった私が、「何をどう考え、変えてきたか」。その体験から得た学びをわかりやすく言葉にしてみたという。遅咲きの氏ならではの説得力が持ち味だ。

第1章は「結論を出せ!」。すぐ行動するためには、「(1)自分なりの結論をすぐ着想し、(2)仮説を組み立て、(3)自信を持って踏み出す、という3つが大事」と著者は言う。100%の正解がない中では、「まずは結論を出してみること」が大事と言い、まずはその「頭出しの結論」を出す習慣をつけようと呼びかける。

むりやりにでも仮説を立てて結論を

正しい、間違っているではない。たたき台になり得るのが「頭出しの結論」だ。直感でむりやりにでも仮説を立てて結論を出す。その結論に基づいて動いてみる。これを何度も繰り返すことで、「そのプロセスを踏んだ回数だけ、『仮説力』は高まり、結果として動けるようになっていく」という。

第2章は「一歩踏み出す」。「宣言する」とか「『数打てば当たる』ではじめる」とか「最初はフィードバックを無視する」など、自身の体験談とともに一歩踏み出すための小技がいろいろと披露される。第3章は「人を動かす」。こちらでは「人といい関係をつくり、動いてもらう方法」がさまざま語られる。

最後の第4章は「『軸』を持て」。軸が自信や成長の原動力になると言い、自分の過去を振り返って現在の価値観を知る方法が説かれる。それでも自分の軸が見つからないときは実在の尊敬する人物でも、歴史上の人物でも、漫画の主人公でも何でもいいから「仮置き」してみようと説く。

その人だったらどうするかと考えていけば、軸が生まれ、いろいろな判断ができ、結果として動けるようになるという。会社の中で「わかっていても動けない」と感じて悶々(もんもん)としている人には、ちょっとしたヒントになるアドバイスが全編にわたって詰まっていると言っていいだろう。

「イベントも盛況だったし、店頭ではここの客層としては珍しく若い人たちによく売れている」とビジネス書を担当する本店マネジャーの川原敏治さんは話す。前著の『1分で話せ』も刊行から1年半たった今も毎日のようにコンスタントに売れていると言い、伊藤氏の本は若いビジネスパーソン定番の水先案内になりそうだ。

(水柿武志)

NIKKEI STYLE

最終更新:9/21(土) 6:20
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