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メディアの誤報をチェックする弁護士 ~元NHKスクープ記者 立岩陽一郎のLIFE SHIFT

9/21(土) 18:02配信

GOETHE

これまで華々しい実績を残してきたNHKを49歳にして去り、その翌日単身渡米。巨大エリートメディアを去った一人のジャーナリストが、さまざまな人の人生、ライフシフトを伝えていく。

新聞記者から弁護士、そしてNPOの事務局長へ
誤解を恐れずに言えば、「嫌な奴」だ。人の書いたものの間違いを指摘する。事実と違うのではないかとの指摘を瞬時に寄越す。

楊井人文(やないひとふみ)――堂々とした語りはかなりの経験を感じさせるが、実は39歳と若い。ジャーナリストであり弁護士、且つNPOの事務局長ということになる。今回のLIFE SHIFTの主人公だ。

楊井氏との出会いは2017年の春先だった。当時、私はアメリカで生活していた。トランプという得体のしれない大統領の誕生をYahoo!ニュースなどに書いていたのだが、そのYahoo!に、シャープな記事を書いている人物がいた。それが楊井氏だった。

「すごい人がいるなぁ。会ってみたいなぁ」

そう思っていた時、なんと本人からいきなりメールが来た。ファクトチェックの団体を立ち上げたいので一緒にやらないかという誘いだった。

ファクトチェックとは、公の人物や報道、ネットの言説などについて事実かどうかを検証する取り組みで、アメリカではかなり盛んに行われていた。勿論、私は重要だとは思ってはいた。しかし、お互い、全く相手を知らないわけだ。

面白い男だと思った。楊井氏は私を知らない。でも、私が書いたものを読んで、「こいつは志が近い」とか、「こいつに会ってみたい」と思った。そして躊躇なく接触する。敢えて言えば、幕末の志士なんかはこんな感じだったのではないか、とも思う。そこに一種のロマンも感じた。以後、やり取りが始まった。

楊井氏のLIFE SHIFTの数は、NHKを辞めたという私のレベルではない。最初は新聞記者を辞めて弁護士になる。そして弁護士になったと思ったら、ある団体を立ち上げる。日本報道検証機構だ。

ここまで考えて、あまり詳しく彼の経歴を聞いていないことに気づき、楊井氏の東京・麹町の事務所を訪ねた。事務所といっても、社会起業大学の施設を有料で使っているものだ。

「2002年に大学を卒業して産経新聞の記者になりました」

「他の新聞社やテレビは受けなかったんですか?」

「考えなかったですね」

産経新聞の記者になることしか考えなかったという。それは元来が保守的な楊井氏の思考とも関係するのかもしれないが、それよりも、大学時代に台湾の現代政治について学んでいたことが大きかった様だ。産経新聞は他の全国紙とは異なり、古くから台北に支局を置いて台湾での取材に力を入れていた。台北支局で取材したいという思いもあったという。

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最終更新:9/21(土) 18:02
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