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香港問題が突きつける「自由と繁栄」の逆説

9/21(土) 12:00配信

BEST TIMES

◆香港で何が起きているのか? 

  2019年、香港が荒れています。
 マスクをしたデモ隊と警官隊が衝突、催涙ガスが使われたり、投石や砲火が行われたりといった光景は、すっかりおなじみとなりました。
 まあ、わが国でも50年ほど前(つまり1960年代末)には、「新左翼」と呼ばれた若者たちが、あんなふうに激しいデモを繰り広げたことがあるのですが・・・

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 いったい、何が起きているのでしょうか? 
 整理することにします。

 発端となったのは、香港特別行政府が2月に「逃亡犯条例」の改正を提案したこと。
 これにたいする反対運動が大きく盛り上がったのです。
 しかも警察が強硬な態度で鎮圧しようとしたことが、火に油を注ぐ結果に。

 行政長官の林鄭月娥(英語名キャリー・ラム)は6月15日、改正案の審議の無期延期を発表、翌16日には政情不安を引き起こしたことについて謝罪しました。
 この延期によって、逃亡犯条例改正は実質的に頓挫したのですが、反対派は収まらず、改正案の完全撤廃とラム長官の辞任を求め、むしろデモを拡大させます。

 ならば、条例改正の何がそんなにヤバかったのか。
 ニューズウィークが簡潔にまとめています。

【(注:条例改正案は)現在ケースバイケースで対応している刑事容疑者の身柄引き渡し手続きを簡略化し、香港が身柄引き渡し条約を結んでいる20カ国以外にも対象を広げるという内容だ。
改正案は、香港から中国本土や台湾、マカオへの身柄引き渡しも初めて明示的に認めている。】

【今回の改正案が成立すれば、香港住人だけでなく、香港に住んだり渡航した外国人や中国人までもが、中国側からの要請があれば本土に引き渡されることになる。】
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06/post-12300.php

 

◆条例改正の真の狙いとは

 引き渡し要請があれば、すぐに応じるわけではなく、法廷での審理によって最終決定するそうですが、「送中」される可能性がぐっと高まるのは確実。
 行政府の言い分はこちらです。

・これによって、香港は中国本土の犯罪者の「駆け込み寺」でなくなる。
・政治的・宗教的な訴追に直面していたり、拷問を受ける恐れがあったりする場合、引き渡しを阻止する「安全弁」がある。
・死刑に処せられる恐れがある容疑者も引き渡さない。

 とはいえ中国においては、政治的自由が制限されているうえ、反体制派への抑圧・弾圧も珍しくない。
 ついでに反体制派を抑圧・弾圧する場合、「お前は政府を批判したな! 逮捕だ!」と、ストレートに言うとは限りません。
 何らかの犯罪をやらかしたことにして、別件逮捕とくるのは良くあること。

 要するにこの改正が成立し、かつ乱用された場合、中国政府から目をつけられた人物は、香港に居住・滞在するどころか、飛行機の乗り換えで立ち寄っただけでも、中国送りになるかも知れないのです。

 2014年に起きた反政府デモ「雨傘運動」の中心人物の一人で、わが国では「民主の女神」などとも呼ばれる女子大生、周庭(英語名アグネス・チョウ)いわく。
 (※)現地では「民主の女神」ではなく「学民の女神」と呼ばれます。これは周庭の参加していた学生運動組織「学民思潮」にちなんだものです。

【今回の改正案は日本人の皆さんにも無関係ではないと思います。
皆さんが将来香港に来たり、観光したりする機会があると思います。
香港に来たら中国に引き渡されるかもしれないというのは、沢山の日本人も不安に思っていると思います。】
https://www.huffingtonpost.jp/entry/chowting_jp_5d00a2eae4b075510399c626

 ちなみに逃亡犯条例改正、香港人が台湾で殺人事件を起こしたあと、香港に逃げ戻ったことを契機に持ち上がりましたが、周庭によればこれは表向きで、香港への支配を強めたい北京政府の指示でやっているとの話。

【本当の理由は殺人犯の引き渡しではない、とみんなが思っている。
中国が好きじゃない人、中国に反対する人、人権を求める人、そして中国で商売をしたり、中国情報を持っている人に対して何か目的があるのではないか。私たちのような活動家だけではなく、中国の官僚と深い関係のある、中国で商売をやっている香港人や外国人をターゲットにするのでは、と思います。】
https://headlines.yahoo.co.jp/article? a=20190617-00010002-newsweek-int&p=1

 

 

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最終更新:9/21(土) 12:00
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