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「マラソンはメンタルが40%」 MGC3位・大迫傑の心になぜ「焦り」が生まれたのか

9/21(土) 6:00配信

文春オンライン

「正直、力負けです」

 9月15日、東京五輪のマラソン日本代表の座を賭けたMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が開催された。男子で大本命と目されていたのは日本記録保持者の大迫傑(28)だったが、結果は代表内定の2位に5秒及ばず3位。

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 大迫は敗因の1つとしてポジショニングを挙げた。

「設楽(悠太)選手が最初から抜け出すのは予想をしていましたが、それでも心のどこかで焦りがあったのだと今は思っています」

 設楽の序盤から飛び出す戦略は、大迫に少なからぬ影響を与えていたのだ。

「普段なら2位集団のもう少し後ろにいるところを、前の方で走ってしまった。結果、激しいアップダウンの一つ一つに反応をしてしまい、(優勝した)中村(匠吾)選手がスパートをかけた時には足が残っておらず、一杯一杯の状態でした」

 大迫は自著『 走って、悩んで、見つけたこと。 』(文藝春秋刊)でこう語っている。

「前半はあまり展開を考えずに、なるべく力を使わないように省エネを意識する。そのため、最初は目立たないように後方で一歩引いて走るようにしています。仮にレースが動いた時でも中盤から後ろにつくことによって一旦呼吸を置いて対応できるようになるからです」

「箱根駅伝に出たくない」と言った大迫の考え方

 冷静にレースを分析することで心に余裕が生まれ、それが走りにも現れる。そうした気持ちの重要性を口にしたのは、「マラソンはメンタルが40%」と大迫が考えているからだ。

 競技に対するタフなメンタリティ、ストイックさこそが大迫の強みだ。

 かつて「日本の中・長距離走においては、突出した才能の人はなかなかいないと、僕自身のことを含めて思っています」と語った大迫は、子供の頃から練習を休むことを嫌い、家族旅行も早く帰りたがった。今でも競技に不必要なものをいかに削ぎ落していくかを重要視している。レースが決まれば友達と遊ぶ時間もいらないと考え、食事も味は二の次で必要な栄養素が摂れればいいと割り切る。

 また、早大競走部時代は、監督に「箱根駅伝に出たくない」と伝えていた。「世界と戦うこと」を目標にしていた大迫は、世界大会がない駅伝に注力しても先がないと考えていたのだ。

 残り1枠の代表の座に大迫は一番近いといえる。他の選手が代表となるには、今後の3大会で大迫の持つ日本記録更新が条件で、そのハードルはかなり高い。

「自分が強くなるために強い選手がいて、少し背伸びをしないとついていけないような環境を常に選んできた」という大迫。反骨精神を持つ彼がこの敗北からどう立ち上がるのか。

林田 順子/週刊文春 2019年9月26日号

最終更新:9/21(土) 6:00
文春オンライン

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