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「中年の引きこもり」ドイツではありえない理由

9/21(土) 16:00配信

東洋経済オンライン

■「子の自立」を妨げる日本社会

 「引きこもり」の問題以前に、日本で暮らすと親子の密着度が高いと思うことがたびたびあります。例えば大学生が企業に内定すると、その学生が親の反対を受けて内定を辞退しないように、企業が学生の「親」を説得し囲い込むこともあるといいます(いわゆる「オヤカク」)。こういったことが完全に悪いことだとは言い切れないのかもしれませんが、少なくとも「子の自立」とは遠いところにいるのは間違いないでしょう。

 ドイツを含むヨーロッパの10代や20代は大学の進学先や勤め先について親に報告することはあっても、「親の同意を求めなくてはいけない」と考える人はあまりいませんが、日本では成人後も「親に相談する」ことが世間でも当然視されているようです。

 そういったことが、子が成人後も実家に住み続けたり、引きこもりを続けても、そのことが問題視されながらも、どこかで容認されてしまっていることにつながっているのではないでしょうか。

アメリカでは「両親が家を出て行かない30歳の息子を訴えた」ことが昨年ニュースになりました。

 ニューヨーク州郊外に住むロトンド夫婦は息子に当初「2週間以内に家を出ていくように」という旨の手紙を書き、息子が自立するための援助も申し出ましたが、その後息子が家を出ていく気配がなかったため、夫婦はニューヨーク州最高裁に提訴したとのことです。

 そして裁判所は「息子は家を出て行かなければならない」と判断をしたため、息子はようやく家を出て、その後Airbnb(民泊物件)で暮らしています。この場合は、両親が司法に訴えてようやく「子どもの自立」が実現した形です。

 それにしても「わが子を訴える」というのは日本の感覚だとなかなか衝撃的です。このアメリカ流のやり方が日本でも通用するかというと、文化的にもおそらく難しいかと思います。

 しかし、記事の冒頭のケースのように、高齢の親の死亡によって長年引きこもり生活を続けてきた中年の子どもが家に取り残されてしまうということがすでに起きている以上、「8050問題」を含むすべての「引きこもり問題」に本気で取り組まなければいけない時期にきているのは間違いありません。

サンドラ・ヘフェリン :コラムニスト

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最終更新:9/21(土) 16:00
東洋経済オンライン

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