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ミランは今季も苦戦必至か。若手中心に補強も期待はできず、EL出場権獲得が現実的な目標に【欧州主要クラブ補強診断(7)】

9/22(日) 10:31配信

フットボールチャンネル

 2019/20シーズンは、夏の移籍市場が終了した。この夏も各チームで様々な移籍があったが、それぞれ主要クラブの動きはどうだったのだろうか。今回はミランの補強を読み解く。(文:編集部)

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●若手中心に補強

 19勝11分8敗の勝ち点68。これは、昨季のセリエAでミランが収めた成績だ。勝ち点68という数字は、過去5シーズンを振り返ってみても最も良いものとなっている。しかし、だ。ミランは4位・インテルに勝ち点わずか1及ばず、再びチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得を逃す形となっている。近年で最も同舞台への切符を掴みかけた中でこうした結果に終わったことは、ミランにとって厳しい現実となった。

 そんな昨季を送ったミランだが、今季はライバルのインテルと同じく大きな変革に踏み切ることになった。経営権を握るエリオットが送り込んだガジディスCEOの下、クラブのレジェンドであるパオロ・マルディーニ氏を新テクニカルディレクターに据え、財政面の再建を進めつつ数年後のCL出場を目指すチーム作りをスタートさせたのだ。

 そのため、今夏のミランにおける補強はあくまで即戦力級の獲得ではなく、将来性豊かな若手選手中心という形になっている。その中でマルコ・ジャンパオロ新監督の戦術に合った選手をミランはリストアップして交渉を行い続けたのだ。

 その結果、最終ラインにはDFレオ・ドゥアルテとDFテオ・エルナンデスが加入。前者はフラメンゴで印象的なパフォーマンスを見せ、ブラジル国内で注目を浴びていたセレソン期待のセンターバックだ。後者は爆発的なスピードとパワフルなプレーが魅力的なサイドバック。DFリカルド・ロドリゲスのパフォーマンスがやや落ちてきている中で、同選手が加入したことはミランにとって大きい。

 中盤にはエンポリから2選手が加入。MFラデ・クルニッチとMFイスマエル・ベナセルである。前者は控え要員となることが予想されるが、後者は今年行われたアフリカネーションズカップ2019でアルジェリア代表の優勝に貢献し、同大会のMVPにも選出されるなど屈指の実力を持つ。まだ21歳と若いが、今季のミランにおけるアンカーのファーストチョイスとなることは確実だ。獲得が正式に発表された日には、ミランの公式ツイッターに多くのサポーターが「待ち望んでいたぞ!」と呟くなど、ミラニスタからの期待も高い。

 そして多くのサポーターから愛されたFWパトリック・クトローネが抜けた前線には、ポルトガルU-21代表のFWラファエル・レオンが加入。こちらは「ポルトガルのムバッペ」と称されるほどのスピードの持ち主であり、ここ最近のミランにはいなかったタイプの選手だ。スピード、フィジカルは申し分ないため、あとは戦術理解度を深めていければ、今年大化けする可能性も高い逸材である。

 そして移籍市場最終日にはFWアンドレ・シウバとトレードという形でFWアンテ・レビッチが加入。圧倒的なパワーと相手守備陣をこじ開ける強引なドリブル突破はミランにとって大きな武器となるはずだ。

 また、今季のミランはジャンパオロ監督の代名詞である4-3-1-2システムをベースにチーム作りを進めていたが、FWスソのトップ下起用が思ったよりハマらず、現在は昨季に引き続き4-3-3のフォーメーションがベースになりつつある。その中で左ウィングの人材不足が懸念されていたミランだが、どうやらそれもレビッチ加入で解消されるようだ。この点は同クラブにとって大きなものとなった。

 ただ、やはり今季もミランは苦戦を強いられるだろう。若手選手の獲得はあくまで未来を見据えたものであり、今すぐ結果を出すことはかなり難易度の高いミッションだ。ファイナンシャル・フェア・プレー(FFP)違反で今季のヨーロッパリーグ(EL)に出場できないため、リーグ戦に集中することはできるが、開幕から数試合を見てもまだチームは試行錯誤を繰り返しており、内容もお世辞には良いとは言えず。今季もEL出場権獲得が現実的な目標となるだろう。

●補強・総合力診断

IN
DF テオ・エルナンデス(レアル・マドリー)
DF レオ・ドゥアルテ(フラメンゴ)
DF ステファン・シミッチ(フロジノーネ/期限付き移籍期間満了)
DF マッテオ・ガッビア(ルッケーゼ)
MF フランク・ケシエ(アタランタ/期限付き移籍期間満了→完全移籍)
MF ラデ・クルニッチ(エンポリ)
MF イスマエル・ベナセル(エンポリ)
MF アレン・ハリロビッチ(スタンダール・リエージュ/期限付き移籍期間満了)
FW ラファエル・レオン(リール)
FW アンテ・レビッチ(フランクフルト/期限付き移籍)
FW アンドレ・シウバ(セビージャ/期限付き移籍期間満了)

OUT
GK アレッサンドロ・プリッツァーリ(リヴォルノ/期限付き移籍)
DF クリスティアン・サパタ(ジェノア)
DF グスタボ・ゴメス(パルメイラス/期限付き移籍期間満了→完全移籍)
DF ディエゴ・ラクサール(トリノ/期限付き移籍)
DF イグナツィオ・アバーテ(未定)
DF イバン・ストリニッチ(未定)
MF ティエムエ・バカヨコ(チェルシー/期限付き移籍期間満了→モナコ)
MF アンドレア・ベルトラッチ(未定)
MF リッカルド・モントリーボ(未定)
MF マヌエル・ロカテッリ(サッスオーロ/期限付き移籍期間満了→完全移籍)
MF アレン・ハリロビッチ(ヘーレンフェーン/期限付き移籍)
FW パトリック・クトローネ(ウォルバーハンプトン)
FW アンドレ・シウバ(フランクフルト/期限付き移籍)

補強評価:D

 財政面の再建を進めつつ数年後のCL出場を目指すチーム作りをスタートさせ、今夏の移籍市場では即戦力級ではなく、あくまで若手選手中心に補強を進めた。しかし、ベナセル、テオ・エルナンデスらは楽しみな存在だが、やはり今季からいきなり結果が出るとは思えず、評価は上がらない。本命のFWアンヘル・コレア、FWエベルトンを獲得できなかったあたりも痛い。

総合評価:D

 先にも述べた通り、今季からのステップアップは期待できない。新監督ジャンパオロの戦術も約束事が多く浸透に時間がかかるはずで、今季はさっそく4-3-1-2から4-3-3へとベースを変更するなど、試行錯誤は今後も繰り返されるだろう。CL出場権を獲得できれば大成功と言えるが、可能性は低い。EL出場権獲得が現実的と言えそうだ。

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最終更新:9/22(日) 10:31
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