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サポートミュージシャンが広げる可能性:今、須藤優と堀正輝が音楽シーンに求められる理由

9/22(日) 13:03配信

リアルサウンド

 ニューシングル『馬と鹿』も大きな話題を呼び、来年2月からのアリーナツアーも発表された米津玄師。小学校時代からの幼馴染であるギターの中島宏士とともに、現在米津をサポートしているのが、ARDBECKとしての活動でも知られる2人、ベースの須藤優とドラムの堀正輝である。

 U&DESIGNのベースとして活動しつつ(2019年4月に脱退)、様々なアーティストのレコーディングやライブに参加してきた須藤と、SCAM CIRCLEのドラマーとして活動しつつ、やはり数多くのアーティストをサポートしてきた堀は、2010年頃に80KIDZのサポートとして出会って意気投合し、2012年にARDBECKを結成。Schroeder-Headzや米津のサポートを担当しつつ、2015年に発表した6曲入りの『BLUE』では、海外の時流だったチルウェイヴからの流れを継承し、清涼感と高揚感の同居したサウンドスケープを作り上げていた。

 2人の魅力を端的に説明するならば、バンド出身の須藤と、クラブ出身の堀との掛け合わせの面白さが挙げられる。U&DESIGNのメンバーとして洗練されたポップスを奏で、サポートとしてはゆずやaiko、SuperflyといったJ-POPのど真ん中にも関わってきた須藤の一方で、堀の参加するSCAM CIRCLEはトラックメイカーを擁するエレクトロニックな資質の強いバンドで、堀自身もともと打ち込みをやっていたこともあり、スクウェアなリズムを特徴とする。そんな2人だからこそ、80KIDZ、Schroeder-Headz、米津と、生演奏とプログラミングの混在したアーティストのサポートがハマったのである。

 そして、この特徴こそが、彼らが時代に求められている理由だと言えよう。家入レオや片平里菜、最近では佐藤千亜妃など、女性アーティストのサポートやプロデュースを数多く手掛ける須藤もさることながら、特筆すべきは近年の堀の活動。彼は現在若手アーティストから引っ張りだこで、須田景凪、Eve、神山羊といった、米津同様にインターネット出身のアーティストから、iriやちゃんみなといった気鋭のディーヴァ、さらにはMomやMINAKEKKEといった新しい感性を持ったアーティストのサポートをしまくっている。

 ここで挙げた名前から浮かび上がるのは、デジタルネイティブ世代の多くがDTMでトラックを作り、ライブでは同期を用いて生演奏をするのが主流になったことと、既成のバンド形態にこだわらず、自由なスタイルで活動するアーティストが増えたということ。だからこそ、堀のように打ち込みと生演奏それぞれの良さを熟知し、これまでも様々な編成でプレイしてきたドラマーにスポットが当たっているのである。

 「クラフトヒップホップ」を提唱するMomのバンドセットでは、堀とともにShin Sakiuraがギターで参加していて、彼は80KIDZやSCAM CIRCLEと同じレーベル<PARK>から作品をリリースしている人物。現在はSIRUPのサポートをしているほか、向井太一やRude-αらの楽曲にも参加していて、彼の活躍からも時代感が伝わってくる。

 須藤と堀は、現在ARDBECKとしての表立った活動はしていないが、Shingo Suzuki、mabanua、関口シンゴの3人がそれぞれサポート/プロデュースを中心とした活動を経て、またOvallとして自らのペースで動き出したように、時代が巡り、いずれまたARDBECKとしての活動を再開させる日が来ることを期待したい。

金子厚武

最終更新:9/22(日) 13:03
リアルサウンド

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