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「相撲」は、もともと神様同士のケンカが始まりだった!|落語DE古事記

9/22(日) 6:05配信

幻冬舎plus

桂竹千代 (落語家)

だんだん皆さんわかってきましたね。「古事記」は、歴史書とはいえ、たいへん変わった、奇天烈な、まるでSFです。
難解でもある古事記を、落語家・桂竹千代さんが、楽しく解説してくれる人気連載。
しかし神様、ケンカばっかしてます。今回は、誰と誰がケンカするかな?*   *   *

第19話「能力者タケミカヅチ」

続いてタケミカヅチは、オオクニヌシの次なる息子である建御名方神(タケミナカタノカミ。以下、タケミナカタ)の意見を聞くことになります。
タケミナカタを訪ねると、千人の力でようやく動かせる岩を手に持って遊びながら、タケミナカタがやってきました(これは強そうだぞ! )。 

タケミカヅチ「おーい! お前かタケミナカタってのは! おれと名前似てんじゃねーよ! この国よこせや!」
タケミナカタ「何だお前は! お前なんかにこの国を渡すか! おれの力、なめんなよ! 勝負だ!」

これが日本初の力比べ、相撲の発祥と言われております。
タケミカヅチがタケミナカタの頭をビール瓶で殴り、タケミナカタは頭をホチキスで縫って……ではなく!
タケミナカタがタケミカヅチの手を掴むと、その手が氷の柱に変化します。

タケミナカタ「冷たっ! 何だこりゃ! もしかして悪魔の実の能力者か! (ヒエヒエの実かな。Ⓒワンピース)」
タケミカヅチ「驚くのはまだ早いぜ!」

今度はタケミカヅチの手が剣に変化します。

タケミナカタ「えー!? ヒエヒエの実かと思ったらスパスパの実か! (Ⓒワンピース)」
タケミカヅチ「覚悟しろぉ!」

タケミカヅチの手刀(マジの剣だけど)が、タケミナカタを襲う!
今度はタケミカヅチがタケミナカタの手を掴み、思いっきり握ります。

タケミナカタ「うう……痛い! くそっ! おれの手も剣に、なれー!!」

……ならない!
そりゃ気合いだけで手が剣になるもんか!
子供の頃はみんながみんな、手からカメハメ波出ろと願ったけど、出ないもん!

タケミナカタ「くそー! おれに覇気があれば! (ワンピースからもう離れろって)」

タケミナカタの手は握り潰され、体を投げ飛ばされます(千人の力持ってるのに!)。

タケミナカタ「こいつはマジヤベー!! 歯が立ちましぇん! こうなりゃ……逃げるが勝ちやー!」

タケミナカタ逃げる!
タケミカヅチ追う!
長野県の諏訪湖の方まで逃げていきます(島根から長野って、めっちゃ逃げたな! )。

タケミナカタ「もう勘弁してくださーい! 許してください! もうこの土地から一歩も出ませんからー!! もちろんこの国は差し上げますー!」

さっきまでの勢いはどこへやら。
こうして、タケミカヅチが勝利します。
タケミナカタは、この地に留まることになりました。
そんなわけでタケミナカタは、長野県の諏訪大社に祀られています。
諏訪大社は、「御柱祭(おんばしらまつり)」という日本三大奇祭で有名です(でっかい柱に乗って坂を下ったり、死者も出るくらい危険なお祭りよ)。
タケミカヅチには負けてしまったけど、力強いので、勝負事にご利益がある神様です。
ちなみにタケミナカタは、タケミカヅチに最後に一言だけ謝ったそうです。

タケミナカタ「諏訪だけに、スワン!」

そしたらまた投げ飛ばされたそうです(ウソですよ)。
タケミカヅチは、オオクニヌシのいる出雲へ戻ります。

タケミカヅチ「うらー! オオクニヌシ! タケミナカタの野郎も、この国くれるって。いいかコラ!」
オオクニヌシ「はいー! でしたら従います従います! 差し上げます! だから乱暴しないでください!
……この国は差し上げますが……でもその代わりに……1コだけ条件いいですか?」
タケミカヅチ「何だとこのやろー!!」
オオクニヌシ「ひゃっ! すみません! これだけやって頂けたら、この国はちゃんと差し上げますので」
タケミカヅチ「けっ一応、言ってみろ」
オオクニヌシ「ワタシを天に届くほどに高くそびえる、立派な宮殿へと住まわせて頂けないでしょうか……?」
タケミカヅチ「な、に、をー!!」
オオクニヌシ「うわー! すみません! 生意気なことを! 言ってみただけでして! ほんとすみません!」
タケミカヅチ「いいよ」
オオクニヌシ「いいんかーい! じゃ、お願いしまっす!」

というわけで、オオクニヌシが祀られたのが、島根県の出雲大社です。
「いずもたいしゃ」は俗称で、正式名称は「いずもおおやしろ」と言います。
超有名な縁結びの神様です。

ちなみに出雲大社のすぐそばに、竹内まりやさんの実家があります。
すごいと思いませんか? 神社なのに、マリア(まりやだけど)。
ちなみにボクは、定期的に「かんたん日本神話の落語会」というのをやってます。古代史のあらゆるテーマをおもしろおかしく笑いを交えながら講義する会です。「出雲大社」のテーマで90分くらい喋ります。
出雲大社って、ほんと面白いんです。
祀られているオオクニヌシが拝殿の中で横を向いているため、出雲大社では前から拝むのは正式ではないとか、しめ縄の向きが他の神社と反対とか、参拝方法が何故二礼「四」拍手一礼なのかとか、当時50メートル近くもあったと言われる本殿を(今は半分の24メートル)、古代人がどうやって建てたのかとか……。
気になる方は、ぜひボクの出雲大社講演においでください。
……話してる間についコマーシャルが入ってしまうのが、ボクの悪いクセなんです。落語を話している最中でも、コマーシャルしちゃう時があります。だから仲間からは竹千代の落語は「実演販売」なんて言われます。
落語仲間からは「すぐ会の宣伝しやがって、お前はほんと金儲けが好きだなー!」なんて言われます。
そういう意味では、竹千代も出雲大社も……エン(縁・円)で結ばれております(うまいっ! )。
……ささ、ととのった所で以上が日本神話の「国譲り」というエピソードでした。
オオクニヌシが主人公の出雲が舞台の物語はこれでおしまいです(お疲れっした! )。
こうして日本は、高天原にいるアマテラス軍団のものとなります。
アマテラスは、日本の統治者を地上へと送ります。
ここから舞台が九州へと移り、「天孫降臨」神話に入っていきます。


■桂竹千代(落語家)
 
落語家。千葉県旭市出身。1987年3月17日生まれ。2005年千葉県立匝瑳高校卒業。2009年明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。2011年明治大学大学院文学研究科古代日本文学専攻修士課程修了。元ニュースタッフエージェンシー所属漫才師、ゴーギャン職人。2011年7月、桂竹丸に入門、前座「竹のこ」。2015年9月、二ツ目昇進、「竹千代」。2019年3月、第18回さがみはら若手落語家選手権優勝。新宿末広亭や浅草演芸ホールなどの寄席を中心に、全国各地で落語会に出演。その他、イベント・結婚式司会、温泉ツアーガイド、古代史講座、大学講師、社会教育講演など幅広く活躍。旭市観光大使も務める。エンタの神様(日本テレビ)、爆笑オンエアバトル(NHK)、メレンゲの気持ち(日本テレビ)、グリコポッキーCM、どうする東京(MXTV)、50ボイス(NHK)、BS笑点特大号(BS日本テレビ)、ミッドナイト寄席ゴールデン(BS12)、夕やけミッドナイト寄席(BS12)SHARP・アクオス落語(全国の家電量販店にて放映)、日曜バラエティー・レギュラー出演(NHKラジオ第一)2018年4月~2019年3月、桂竹千代のJAGARAKU(FM帯広)2018年4月~2019年3月、OH! HAPPY MORNING「Today’s Focus」(JFN)※古代史専門家としてニュースコメント、春風亭昇太のピローな噺(dtvチャンネル)、竹千代の風土記(CS寄席チャンネル)などに出演。
 
 
 
 

最終更新:9/22(日) 6:05
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