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「発達障害」が先進国で多く、途上国で少ないのはなぜ?|発達障害と呼ばないで

9/22(日) 6:05配信

幻冬舎plus

岡田尊司

ADHD、学習障害、アスペルガー症候群、自閉症……。近年、「発達障害」と診断される人が急増しています。一体、どうしてなのでしょうか? 精神科医・岡田尊司先生の『発達障害と呼ばないで』は、その意外な秘密に迫った一冊。発達障害は「生まれつきの脳機能の障害」という、これまでの常識がガラッと変わることでしょう。そんな本書から、一部を抜粋してお届けします。*   *   *

ヒスパニックは発達障害が少ない

社会的なレベルで比較した場合、もう一つ重要なことは、ヒスパニックや途上国で、自閉症スペクトラムの有病率が低いということである。調査のたびに、ヒスパニックでの有病率も上昇し続けており、ヒスパニック以外の白人に追いつきつつあるものの、依然、三~四割低い水準にある。

第一章で述べたように、この差は、受診率や診断率の違いからだけでは説明が困難で、実質的に有病率が低い可能性が示唆されている。また、同じヒスパニック系の子どもでも、移民一世の子どもの有病率が〇・三%に過ぎないのに対して、親がアメリカ生まれの場合、二%を超え、ヒスパニック以外の白人より高い値を示していることも、アメリカ的なライフスタイルと結びついた環境要因の関与を強く疑わせる。

一方、ADHDについては、途上国では二〇〇〇年初め頃まで、比較的低い有病率が報告されていた。たとえば、二〇〇一年に報告されたエチオピアでの有病率は一・五%であった。

台湾で行われた全国レベルの調査によると、ADHDと診断された人の割合は、一九九六年の時点では、〇・〇六%に過ぎなかったが、二〇〇五年には、一・六四%まで増えている。その約半数が薬物療法を受けていた。大幅な増加は、診断概念の普及により診断率が上がったことが主な原因と考えられる。

しかし、日本の五~六%、イギリスの八%、アメリカの一〇%、その約半数が薬物療法を受けているという数字と比べると、かなり低い水準にとどまっている。

エチオピアや台湾は、経済的にも発展途上であり、先進国に比べると、きょうだいの数も多く、それだけ一人の子どもにかけられるお金も手間も乏しいはずだが、そうした不利な条件をはねのけて、ADHDを防ぐ要素が社会に保たれているということであろう。それらの社会において、子どもの発達を守っている要素とは一体何だろうか。

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最終更新:9/22(日) 6:05
幻冬舎plus

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