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「5G」は本当に使えるのか?――“国土の6割が山地”の日本における問題点

9/22(日) 5:30配信

文春オンライン

「5G」というITの用語をひんぱんに聞くようになってきた。いまのスマートフォンの通信に使われている4Gの次の規格で、東京五輪のある来年には日本でも使えるようになる。超高速で大容量で、たくさんの機器を同時に接続でき、通信の遅れもごくわずか。5Gがやってくれば映画や音楽が変わり、VRなどの娯楽も本格的に楽しめるようになり、と盛んに宣伝されている。

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 旗振り役の総務省に至っては、 「2020年の5G実現に向けた取組」 という文書で、地域活性化や地方創生、さらには労働人口の減少や労働生産性の向上にまで役立つと謳っている。少子高齢化と生産性の低さで国際競争力を失いつつある日本にとってはまるで救世主のように見えるが、本当にそうなのだろうか?

救世主「5G」の大きな問題とは?

 実は5Gには、大きな問題がひとつある。ミリ波(28GHz)という高い周波数帯を使っていることだ。ミリ波はたしかに超高速で通信できるけれども、届く距離が短い。おまけに直進性が強くて建物の壁や雨などに遮へいされてしまうと、回り込めない。だからコンクリートの建物などに入ると電波が届きにくくなってしまう。

 これを乗り越えるためには、いまの4Gの基地局よりもずっときめ細かく、無数といっていいほどにたくさんの5G基地局を設置しないといけない。これを全国に展開するのはそう簡単ではないので、NTTドコモなどの携帯キャリアは、現行の4Gの基地局網につなぐかたちで新しい近距離の5G網を重ねる「スモールセル」と呼ばれる小型基地局を導入しようとしている。しかしいずれにしても、新たなアンテナの設置がたくさん必要になってくる。

 そうなるともっと大きな問題が見えてくる。それは、5Gは人口の集中している都市でしか使えないという現実だ。通信の遅延がほとんどない5Gは自動運転車のコントロールに有効だが、田舎道に入ると使えなくなってしまう。ドローンのコントロールにも使えるけれど、5Gが使える都市部はドローン規制が多く、規制の少ない田園地帯では5Gが使えないという笑えない話になる。5Gで高精細のテレビ会議が行えるようになるけれど、移住した先の田舎からは残念ながら参加できない。

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最終更新:9/22(日) 5:30
文春オンライン

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