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『大家さんと僕』大ヒットの矢部太郎が、再び筆を執った理由

9/22(日) 8:00配信

週刊女性PRIME

 お笑い芸人の矢部太郎さんが東京・新宿のはずれの一軒家で大家さんとひとつ屋根の下で暮らす生活を、実体験をベースに描いたフィクション漫画は、ふふっと笑えてじんわり泣けて、心がほっこりする作品。

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成長した自分がテーマの2冊目

 漫画家デビュー作となった前作『大家さんと僕』で、第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。本職の漫画家以外が作画した作品では初、芸人としても初という快挙を成し遂げた。受賞の様子や創作のヒミツ、豪華執筆陣らの寄稿などがつまった盛りだくさんの番外編本『「大家さんと僕」と僕』も今年6月に発売され、シリーズ累計部数は100万部を突破。

『大家さんと僕 これから』は、そのシリーズ最後の完結編となる。今作は『週刊新潮』に掲載された内容に30ページ超の書き下ろしを加えた1冊。前作の発売前後のことから、大家さんとの別れまでのエピソードが描かれている。実は当初、矢部さんは連載再開の話をずっと断っていたのだとか。

「最初から“1冊出す”ことを目標に、その中での展開を考えて作っていました。本当に初めてだったから、“やっと描けた”という感じでしたし、ひとつの映画や小説を作るような感覚で、1巻、2巻と続くものとはまったく考えていなくて。

 僕が見た大家さんをキャラクターとして描いてはいるけれど、でもやっぱり、僕の中で現実と切り離せないと思えるところもあって。続く漫画は登場人物が成長してはダメだと思うのですが、僕は『大家さんと僕』で、大家さんと出会って、僕が成長したところを描きたかったんです」

 とはいえ「続編を」の声があちこちから上がる中、ある先輩芸人さんのひと言が後押しとなり再開を決意。そのエピソードは単行本に収録されているので、そちらをぜひご一読あれ。

個人的な祈りのようなもの

「受賞のおかげか、『週刊新潮』で連載させていただけることになりました。それはすごくありがたかったのですが、月刊のときには1作描いたら1~2週間は漫画のことを考えなくていい時間があったのに、週刊だと1本入れたらすぐ次のネームを作らないといけなくて。“あ~週刊ってすごいなぁ”と(笑)。連載前に10本ストックを作って始めたのですが、それが、一瞬でなくなりました」

 週刊連載の厳しさにびっくりしたとのことだったが、それでも毎週、締め切りの数日前には完成させていたというからすごい。

「土日で描くと決めていて、その2日間は劇場に出ていることが多かったのですが夕方には終わるので、夜、ほんこんさん(作中に登場する“ガサツな先輩”のモデルのひとり)のお誘いを断って(笑)。

 劇場の楽屋でも描いていたのですが、横で見ながらねちねち……いや、ごちゃごちゃ……擬音を間違えました(汗)。ええと、いろいろとためになるアドバイスをくださいました。“こうしたほうがおもろいんちゃうか”って」

 連載再開のスタート時は、“明るいエピソードを描こう”と考えていたという矢部さん。

「連載中、大きくいうと3回、気持ちに変化がありました。最初は、週刊であっという間に印刷されるし(笑)、それをまた大家さんに読んでもらえるというのがモチベーションのひとつとなっていました。1話目に“僕はとてもいい家に住んでいます”というコマがあるのですが、大家さんへの手紙というか、面と向かっては言えないけれどこういう形でなら伝えられるという思いを、できるだけ楽しく、おもしろく描いていけたらなと」

 しかし連載を再開した年の8月、残念なことに大家さんが亡くなられてしまう。

「大家さんとお別れしなければいけなくなったときに、1度、休載させてもらいました。描くこと自体できなくなったというか……。そのあと、時間がたつことでもう1度、描きたいなと思うことができたので、それからは大家さんへの感謝の気持ちで描いていました。もう大家さんに届けることはできない。だから、それは手紙ではなくて、僕の個人的な祈りのようなものだったのだと思います」

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最終更新:9/22(日) 8:00
週刊女性PRIME

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