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タワマンの「一斉老化」が止められない…日本を蝕む「不都合な真実」

9/22(日) 9:01配信

現代ビジネス

東京・湾岸で起きた「異変」

 8月上旬、タワー型を含む大規模開発中のマンションの販売で異変が生じた。

 2020東京五輪・パラリンピックの選手村を転用して東京・晴海地区に整備されるマンション「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」の第1期分600戸が売り出されると奇妙な現象が起きたのである。

いまマンションを「買っていい街」「ダメな街」を実名公開する

 14階建ての最上階、レインボーブリッジや東京タワーを見渡せる1億円超の住戸は71倍もの競争率だった。その一方、応募ゼロの住戸が続出したのだ。人気、不人気の差が極端だった。消費者は人気物件以外に触手を伸ばそうとしなかった。販売主は、慌てて落選者に応募のなかった住戸やキャンセル住戸を紹介し、ほぼ売り尽くしたというが、「五輪人気で即日完売」とはならなかった。明らかに顧客は「ようす見」を決め込んでいた――。

 タワーマンションの行く手に陰りがさしてきた。超高層の華やかなヴェールが剥げ、その「不都合な真実」が徐々に露呈してきたようだ。

 不動産経済研究所のデータによれば、2019年以降に完成予定の超高層マンションは、全国で300棟、11万4079戸。大量供給が続くが、そのうち73・6%を首都圏が占める。東京23区内に52・5%が集中しており、近畿圏が12・8%、福岡圏3・4%と続く。

 高さ60メートル、20階建て以上のタワーマンションの建設は、じつは首都圏頼みの一本足打法なのである。

 その建設ラッシュに保育所や小学校、鉄道施設などのインフラ整備が追いつかない供給過剰現象は、川崎市中原区武蔵小杉や、東京都の中央、港、江東、品川の湾岸4区で起きている。超高層が林立する武蔵小杉の朝の通勤地獄は凄まじい。駅舎から長蛇の列が延々と外にのび、ホームは人が転落しかねないほどの混みようだ。

 湾岸4区が公立小学校の新築・増改築に投じた費用は、超高層の建設が加速した08年~17年度の10年間で856億円に達し、それ以前の10年間の22倍に膨らんだ。一時的に増えた小学生は、やがて少子化の流れにのまれて減っていく。急いで建てた小学校はいずれ無用の長物となって自治体の財政を圧迫する。タワーマンション開発につきものの補助金は交付できなくなるだろう。災害時の避難場所や備蓄の確保にも赤信号が灯る。

 こうした状況を受けてなのだろうか、超高層マンションを見上げる消費者の意識が変わりつつある。

 「このまま大量供給が続けば、買い手がつかず、値崩れする。販売が開始されても飛びつかず、ようすを見たほうがいい」。そんな空気がたちこめている。

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最終更新:9/22(日) 21:45
現代ビジネス

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