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女性2人が体験した、本当に怖い「相続の失敗」

9/22(日) 8:00配信

東洋経済オンライン

■遺言執行者が書かれていないばかりに…

 ここ1、2年、遺言を書きたい、というご相談がたいへん増えています。今年1月13日施行の民法改正でも、自筆証書遺言の様式が緩和されるなど、国も遺言を奨励する傾向にあります。

 さて、そんな遺言ですが、意外と知られていない盲点があります。それは、遺言執行者をきちんと指定しておくべきである、ということ。指定していなかったばかりに、大変なトラブルが起きることがあります。

 A子さんもトラブルに見舞われた1人。A子さんは父親が亡くなって以来、母親と同居し、母の最期まで1人で面倒をみました。A子さんには、3歳上の兄がいますが、両親と反りが合わず、実家に寄りつかなかったのです。

 母はA子さんに感謝し、実家の土地建物はもちろん、預貯金、投信などの財産の大半をA子さんに相続させる旨の遺言を残してくれました。ただ、兄と紛争になってもいけないので、兄の取得分はゼロとせず、遺留分相当、つまり全財産の4分の1相当の預貯金を相続できるような遺言となっていました。

 ところが、いざA子さんが遺言のどおり、預貯金や投信を換金しようとしたところ、金融機関の窓口で「遺言書に遺言執行者の記載がないので、手続きに応じられません」と言われてしまいました。遺言執行者がいない場合は、相続人全員による必要書類への署名や実印での捺印、そして各々の印鑑証明書が必要となる、というのです。

 A子さんは、兄に協力をお願いしましたが、遺言の内容が気にくわないのでしょう。兄は電話にも出ない、メールの返事も返さない始末。

 これでは相続税の申告期限までに現金化できず、納税資金が準備できなくなりそうで、A子さんは気が気ではない毎日を送ることとなってしまったのです。

 よく誤解されがちですが、遺言を書けば、自動的にそのとおりになるわけではありません。誰かがその遺言を持って、名義変更などの手続きのために金融機関回りをしなければならず、この事務手続きをする人のことを「遺言執行者」といいます。遺言執行者は相続人の一人でも構いません。このケースではA子さんでも構わなかったのです。

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最終更新:9/24(火) 7:57
東洋経済オンライン

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