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青年失業家・田中泰延氏が説く、文章を書く上で大切なこと

9/22(日) 8:00配信

Book Bang

 コピーライター、CMプランナーとして勤務してきた電通を退社後、青年失業家を名乗りWEBを中心に活動している田中泰延氏が書いた初の著書『読みたいことを、書けばいい。』がアマゾンの総合ランキングで1位を取るなど、発売3カ月で15万部を突破している。

「自分が読みたいことを書けば、自分が楽しい」ということを伝えるために書かれた本書は、ビジネス書らしからぬ作りの本だ。ビジネス書らしいところといえば、コラムに書かれている広告の書き方と、履歴書の書き方くらいで、残りはみな文章を書くということを深く掘り下げるために頁を割いている。とはいえ、広告の書き方についてのコラムはこれだけで1冊の本にできるのではないかと思うほどの充実ぶりなので必読である。

 なにを書くのか、だれに書くのか、どう書くのか、なぜ書くのか。本書ではそれをひとつひとつ定義することで、文章を書くということを見つめなおしている。ネットで読まれている文章の9割は随筆である。随筆を著者は「事象と心象が交わるところに生まれる文章」と定義する。人間は事象を見聞きして、それに対して思ったこと考えたことを、書きたいし読みたいのだ。

 文章を書くときに読者のターゲットは意識しなくてよいと著者はいう。その文章を最初に読むのは自分だから、自分が書いて、読んで楽しい気分になるのがなによりも重要だという。この本自体も著者が楽しんで書いたのだろう。ところどころにギャグがあったりと、話があちこちに脱線している。ただ脱線した文章がとにかくおもしろいので、つい先が気になって読んでしまうのだ。

 もちろん、この本には文章を書く上で大切なこともたくさん書かれている。つまらないのは自分の内面を語る人である、物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛、調べたことを並べれば、読む人が主役になれる。「わたしが愛した部分を、全力で伝える」など、文章を書く際に大事なのはテクニックではなく、姿勢なのだということがわかる。書くことは、生き方の問題である。自分のために、書けばいい。読みたいことを、書けばいい。

[レビュアー]田中大輔(某社書店営業)

新潮社 週刊新潮 2019年9月19日号 掲載

新潮社

最終更新:9/22(日) 8:00
Book Bang

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