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スーパー歌舞伎に主演の中村隼人「若い人にはうなずくくらい共感していただきたい」

9/23(月) 14:00配信

週刊女性PRIME

 30年ほど前、当時の三代目市川猿之助(現・市川猿翁)さんが「現代のお客様がもっと楽しめる歌舞伎を」と、ダイナミックな演出で創りあげた新ジャンル、それがスーパー歌舞伎。その意志を四代目猿之助さんが引き継いだスーパー歌舞伎II〈セカンド〉で、スーパー歌舞伎の代表作『オグリ』が刷新上演される。

【写真】スーパー歌舞伎で共演した市川右團次と、二代目右近のツーショット

 主役の小栗判官役を猿之助さんと分け合うのが、中村隼人さん。端正な美貌と芸で、当代きっての若手二枚目として人気を集める逸材だ。

憧れの猿之助との共演

「おととしくらいから猿之助兄さんに“一緒にやりたい、あなたに合う役だから、交互出演でできたらいいね”と言っていただいていたんです。でも、まさか実現するとは思いませんでした。僕にとって憧れであり、おそれている先輩で、大好きな人でもある猿之助兄さんとの交互ですから、俳優人生の中でも大事件だと思います」

『新版 オグリ』の小栗判官(オグリ)は何不自由なく育ち、できないことなんて何もないという美丈夫(つまりイケメン)。出だしの彼は、かなり思い上がった若者だ。

「冒頭の彼は完全に調子に乗っています。やんちゃ盛りですし、腕っぷしは強く頭もキレて容姿もいい、望むものは何でも手に入ってしまう。でも、恋をして仲間と徒党を組んだオグリは地獄に送られて、醜い容姿と不自由な身体の〈餓鬼病〉という状態になって現世に戻されます。

 いままで当たり前にできたことができなくなって。そこから人とのつながりの大切さや、生きていく中で大切なものを知っていくというストーリーですので、とても成長するんですよ。現代の人にもすごく共感してもらえる話だと思います」

弱ることで増す人間味

 今回の『新版』では、現代人の共感ポイントがより増しているのだそう。

「オグリは恵まれているからこそ、何か人生に物足りなさを感じている。彼の周りも、挫折して悩んでいる人ばかり。周りの仲間と地獄に落ちたら、今度は閻魔大王まで地獄のあり方に悩んでいる。

 “人間をこうして拷問するだけでいいのだろうか”って。誰もが“自分もこのままでいいのかな?”と考えさせられる作品だと思います」

 オグリは試練を受けて、どんどん人間味を増していく。

「弱るということは人間的にはつらいことです。でも猿之助兄さんもスーパー歌舞伎II『ワンピース』の公演中に腕をケガされて、当たり前にできていたことができなくなったことで “考え方が変わった”とおっしゃっていました。

 僕自身も高校生くらいのときに体調を崩したことがあって、“健康で生活するという当たり前のことが、こんなにうれしいものなんだな”と気づけましたから。そういう経験で得たものをぶつけていきたいと思っています」

 スーパー歌舞伎といえば、ケレン味たっぷりの演出やアクションも楽しみ。

「今回は、新橋演舞場史上初のダブル宙乗りがあります。劇場の上下(かみしも=左右)でふたりが同時に飛ぶので、そこは見どころになると思います。

 しかもそのときに乗る馬が、少し『ターミネーター』に出てきそうな馬なんです。衣装も“現代の荒くれ者たち”という感じになっていますし、最新技術を駆使した映像も見ごたえがあるはずです。それに、本水を使った“血の池地獄”では、びしょ濡れになって暴れますよ(笑)」

『ワンピース』や『NARUTO-ナルト-』など、新しい歌舞伎に縁のある隼人さんだが、実は古典が大好きだそう。隼人さんにとって“歌舞伎”の魅力は?

「例えば、歌舞伎には演じ方の“型”があって、歩き方なら立役と女方で方法が違うんです。立役はどんな職業かによっていろいろな歩き方があります。職人、武士、町人の歩き方、全部ノウハウがあって違う。

 演技法の確立の仕方がひとつひとつ理にかなっていて、それを作ってきた先人たちはすごいなと感じますね。日本人が好む古典のストーリーや色のセンス、様式美的な魅力にも惹かれます」

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最終更新:9/23(月) 16:45
週刊女性PRIME

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