ここから本文です

倉庫現場のプロが「ダブルチェックは機能しない」と語るワケ

9/23(月) 13:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

ヒューマンエラーを抑制するためにしばしば行われる「ダブルチェック」ですが、誤出荷防止にはあまり有益とはいえません。本記事では、マニュアルによって確認作業を処理作業化するメリットを解説します。※総合物流の効率化を推進し、実績を上げてきた著者が、これからますます需要が高まる物流倉庫管理の改善策を提言します。

マニュアル作成のポイント(4)「確認」を処理作業化

倉庫現場は個別色が強いため、改善例を挙げ始めるときりがありません。そのため、ここではどの倉庫にも当てはまる共通項を7つ挙げ、解説したいと思います。今回は、マニュアル作成のポイント(4)として、「確認作業の処理作業化」について取上げます。

 倉庫管理マニュアル「7つのポイント」 

ポイント(1):作業環境を整備する

ポイント(2):入荷管理を徹底する

ポイント(3):ロケーション表示を簡略化する

ポイント(4):確認作業を処理作業化する ← 今回はコレ!

ポイント(5):注意力を喚起する工夫を随所に盛り込む

ポイント(6):バーコードを活用し、リアルタイムで正確な在庫管理を行う

ポイント(7):バーコード管理の環境を整える


● ダブルチェックは機能しない

ヒューマンエラーを減らす対策として、よく行われるのがダブルチェックです。〝一度確認するだけでは見逃すかもしれないけれど、二度ないし複数のチェックをかければミスを軽減できる〟、私の経験上、このダブルチェックは誤出荷防止にあまり役立ちませんでした。

最大の理由は〝過信〟です。

作業者自身がダブルチェックをする際、自分が一度「大丈夫」と思った確認を、自らもう一度行うことになります。すでに「問題なし」と判断しているわけですから、二度目以降は「合っている」という前提のもとに目を通してしまいます。

人間の目は不思議なもので、「合っている」と思い込みながらチェックした場合、仮に明らかな間違いがあっても目に入りません。見ているのに、見ていないのです。そうやってミスはダブルチェックをすり抜けていきます。

では、複数人でのダブルチェックはどうでしょう。この場合も人間の心理として難しい上に、コストがかかります。作業者自身のダブルチェックと同様、「一人目が確認しているので大丈夫」という前提のもとで、二人目の確認作業が行われるからです。どうしてもチェックの目が緩くなってしまうのです。しかも確認する人の数が増えるほど人件費は増加します。

ダブルチェックが機能しない理由はほかにもあります。誤出荷事故の発生件数自体が作業量に比べて非常に少ないということです。

仮に10件や20件に一度といった確率で誤出荷事故が頻繁に起きている場合、ダブルチェックの担当者は〝見つけがい〟があるのでチェックの目が厳しくなるかもしれません。

しかし、よほど管理がずさんな倉庫でない限り、日々のチェックでミスはほとんど見つかりません。すると人間は、どうしてもチェック自体が疎かになってしまうのです。

例えば、タバコを吸う人が年に一度か二度、タバコを反対にくわえてしまうことがあるとします。その年に数回のミスのために日々、「タバコの向きよし!」と確認できるでしょうか。少なくとも私には無理です。極端に言えば、ダブルチェックとはそういう心理的な無理難題を作業者に与えているようなものなのです。

● 作業者の注意力が問題ではない

「作業者が注意を怠ったからミスが生じたのだ」ともよく言われます。しかし事故の原因を作業者の不注意のせいにしても問題は解決しません。

ピッキング作業の際、商品現物表示の品番とピッキングリストにある品番を突き合わせて確認したとき、合っていると思い込んでミスが生じることがあります。確かに注意力不足が原因かもしれませんが、厳密に言えば、合っていると思い込んで〝確認作業が抜け落ちてしまう〟ことでミスが起きています。

では、なぜ確認作業が抜けてしまうのでしょうか。ダブルチェックの項目でもお伝えしたように、人間は自分が確信を持っていることについては逐一、注意力を保つのは難しく、見落としてしまうものなのです。

「誤出荷の原因は注意力不足です」「確認不足だったので、次回はもっと注意して作業します」そのような事後報告書は、当社ではあり得ません。

「なぜヒューマンエラーが起きたのか」を徹底究明し、「どうすればそのミスを防ぐことができるのか」という改善策を具体的に考え出し、一対一で指導を徹底できるまで、何度でも事後報告書をやり直させます。注意力不足や確認不足を誤出荷の原因にしている限りは、ミスはなくならないと心得てください。

1/2ページ

最終更新:9/23(月) 13:00
幻冬舎ゴールドオンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事