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都市の空きスペースを配送センターに変える自動化ソリューション

9/23(月) 10:00配信

Forbes JAPAN

イスラエルにある「シャローム・メイヤー・タワー」(Shalom Meir Tower)をご存じだろうか。白状すると、私も最近までは、それがどこにあるどんなタワーなのかを知らなかった。このタワーが歴史に名を刻もうとしているのだが、その理由を説明しよう。

シャローム・メイヤー・タワーは近いうちに、ブランドや小売店の世界を再定義するものになるだろう。かつては、商品を注文してから配達されるまでの時間は「1週間以内」とされていた。それが「3日以内」になり、「翌日」「当日」と早まって、ついには「数時間以内」に配達される段階にきている。

正直に言うと、何かがほしくなったときは、単にそれがほしいだけではない。「いますぐ」ほしいものだ。48時間後でも、翌日でもなく、いますぐに。そうした願いが、イスラエルの都市テルアビブにある何の変哲もない地下駐車場のおかげで、まもなく実現されようとしている。

テルアビブの中心地に建つこのタワーの奥深くでは、大きな改革が起きつつある。都心部におけるEコマースの本質そのものをかたちづくる可能性を持ったもの。それは、「完全自動化された世界初の地下倉庫」だ。

イスラエルのロボット関連スタートアップ「コモンセンス・ロボティクス(CommonSense Robotics)」の共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるElram Gorenは次のように語る。

「生鮮食料品のEコマースは、難題であると同時にチャンスでもある。注文された高品質の商品を、お金をかけずにすばやく顧客に届けるにはどうしたらいいのか。自動化は、経済的な側面を解決してくれるが、それは問題全体のごく一部にすぎない。何よりも肝心なのは、自動化システムを、顧客がいる場所へと接近させることだ。配達する距離を、わずか数キロメートルまで短縮できるように」

コモンセンス・ロボティクスの独創的な発想の優れた点は、そのシンプルさにある。あまり活用されていない空間である地下倉庫を利用するというのは、尽きることのない顧客の期待や要望を小売業者が満足させるための、うまい手段だ。

冷蔵・冷凍された生鮮食料品やその関連商品を、地下倉庫から配送する。注文が入ってから1時間で生鮮食料品を顧客のもとに届けることが、運営上でも商業的な意味でも、実現するわけだ。

ただの地下駐車場ではない

シャローム・メイヤー・タワーの地下倉庫のように、使われていない都心の空間を活用することは、Eコマースにおける新たなビジネスモデルになり得るだろうか。このアイデアは確かに、多くの点で理にかなっている。都市に住む人間の数は増え続けており、既存のサプライチェーンでは、需要に応えるのが難しくなっていくからだ。

国連の調査によれば、世界全体の人口の55%が現在、都市に住んでいる。その割合は、2050年には68%まで増えるという。地球全体の人口も増えるため、2050年までには、現在に追加して25億もの人間が都市部に住むようになるだろう。

そのすべてが食料を必要とする。そう考えると、オンデマンドEコマースが増え、既存スペースを効率的に再利用する必要性が出てくることは明らかだ。

Elram Gorenは、「都市部が抱える最大の課題のひとつは、顧客が暮らす住居の近くにあり、価格が手ごろな、使われていない不動産を見つけることだ」と指摘する。「だからこそ、どんな形状の空間でも適用できる、柔軟性をもった自動化ソリューションが重要となってくる。独立した不動産物件であれ、小売業者の『既存店舗』であれ、自動化システムが空間におさまらないという理由だけで、顧客との近接性を犠牲にしたくはないものだ」

独自のロボティクスと人工知能技術を活用するソリューションによって、ハイストリート(都心の大通り)にある使われていない店舗などが、小規模な配送センターとして利用できる機会が開けてくる。

一方でこれは、ハイストリートが本当の意味で新たに発展する日がまもなくやってくるということでもある。小売店が、ホスピタリティ産業やウェルネス産業、住宅、そして配達業とうまく共存するのだ。

興味深いこうしたアイデアは、ハイストリートが進化する新たな幕開けの一部になるかもしれない。

Andrew Busby

最終更新:9/23(月) 10:00
Forbes JAPAN

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