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追悼リック・オケイセック ザ・カーズのフロントマンが残した名曲17選

9/23(月) 10:45配信

Rolling Stone Japan

現地時間9月15日、心疾患により75歳で逝去したザ・カーズのフロントマン、リック・オケイセック。「燃える欲望」から「マジック」「ドライブ」まで、ポップ・ロックの鬼才が残した名曲たちを紹介する。

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ニューウェーブのバンドでありながら、曲をトップ40にランクインさせる大衆性を備えたカーズを支えていたのは、気まぐれで尖ったポストパンクのメンタリティ、抜群にキャッチーなフック、そして生々しい欲望の描写を共存させるリック・オケイセックのヴィジョンだった。恐るべきタイトさを誇る1978年のデビュー作『錯乱のドライヴ/カーズ登場(原題:The Cars)』について、バンドは「実質上の『グレイテスト・ヒッツ』」と冗談混じりに語っていたが、彼らは80年代を通じて職人芸というべき優れた作品を発表し続けた。オケイセックはプロデューサーやソロアーティストとしても成功を収め、2011年に発表したカーズのカムバック作『ムーヴ・ライク・ディス』では、彼らがウィーザーやノー・ダウト、ザ・ストロークスといったフォロワーたちと対等に渡り合えることを証明してみせた。オケイセックが残した17の名曲を紹介する。


1.「ベスト・フレンズ・ガール(原題:My Best Friend’s Girl)」(1978年)

カーズ最初期の曲群のひとつであると同時に、オケイセックの最高傑作のひとつでもある「ベスト・フレンズ・ガール」で、彼はバディ・ホリーやカール・パーキンスをはじめとする50年代のロックンロールへの憧れを、硬質なギターサウンドと若者ならではの情熱や葛藤をもって表現してみせた。「歌詞の内容は僕の実体験に基づいているわけじゃない」彼は後にそう語っている。「親友に彼女を奪われるっていうのは、多くの人が経験しているだろうと思ったんだよ」バンドのデビューアルバムのセカンドシングルとしてトップ40入りを果たした同曲には、ニューウェーブ的な洒落たタッチはもちろん、「スウェードの青い瞳」「核のブーツ」といったオケイセックらしい不可思議なフレーズも登場する。彼は後にこう語っている。「曲を書いている途中で、『僕の親友のガールフレンド』っていうフレーズが出てこないことに気付いたんだ。そこで誰かがワープロで歌詞を書き出した紙に、僕は手書きでこう書き加えた。『彼女は僕の親友のガールフレンド / 僕の大親友のカノジョ / そんな彼女は僕の元カノ』」J.D.


2.「ムーヴィング・イン・ステレオ」(1978年)

意外とも言えるうねるようなグルーヴ、そしてニュアンスに満ちたリズムギターが魅力の「ムーヴィング・イン・ステレオ」は、カーズ史上最もセクシーな曲だ。1982年作の青春映画『初体験/リッジモント・ハイ』において、ジャッジ・ラインホルドがプールから出てくるフィービー・ケイツの姿を空想するシーンでそのインストゥルメンタル版が使われたことで、同曲はジェネレーションXの記憶に深く刻まれることになった。同曲はその後も数多くのサウンドトラックに収録され(パロディめいたものが多い)、最近では『ストレンジャー・シングス』の予告映像にも登場した。ラウンジ風のヴォーカルを披露しているのはベンジャミン・オールだが、彼の死後はオケイセックがライブの場で歌っていた(同曲はオケイセックとキーボーディストのグレッグ・ホークスの共作であり、デビューアルバムにおいてオケイセック以外が作曲に関わった唯一の曲でもある)。B.H.


3.「燃える欲望(原題:Just What I Needed)」(1978年)

「ただ楽しむことが大事っていう場合もあるんだよ」プロデュースを手がけたウィーザー『ブルー・アルバム』のレコーディング時にメトロノームの使用を勧めた理由について、オケイセックは今年7月に本誌にそう語っている。8分音符を正確に刻むリズムギター、そして普遍的なシンセのリフが登場する「燃える欲望」(作曲はオケイセックだが、ヴォーカルはベンジャミン・オール)は、彼のその哲学を如実に反映していると同時に、1978年発表のデビュー作が80年代のシーンを先取りしていた証拠のひとつでもある。彼が暮らしていたコミューンの地下室で作られた同曲の粗削りなデモは、1977年に開局したばかりだったボストンのラジオ局で頻繁に流され、バンドの躍進のきっかけとなった。B.H.

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最終更新:9/23(月) 10:45
Rolling Stone Japan

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