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子供のいない「おふたりさま」夫婦に「相続トラブル」が続出中のワケ

9/23(月) 8:01配信

現代ビジネス

「おふたりさま」の相続問題

 本当は相続人がいるのに、その存在を普段は意識しないためにトラブルを招くケースは少なくない。

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 それが、子どものいない夫婦、つまり「おふたりさま」の相続の場合だ。

 二人きりの老夫婦の場合、夫か妻のどちらかが亡くなれば、その遺産はすべて配偶者のものになる。わざわざ遺言書を作成する必要はない――。こう考えて、そのまま亡くなる高齢者は多い。

 ところが、これは間違いだ。

 おふたりさまの場合、民法の規定する法定相続人は、故人の親、きょうだい、次いで甥や姪の順になる。これを念頭に置いていない人は多く、遺産をめぐるトラブルが多発している。

 大阪府在住の向井淑子氏(77歳・仮名)には、50年以上連れ添った夫がいた。子どもはなく、小さな自宅で、夫と二人暮らしを続けてきた。

 夫が亡くなったのは、つい2ヵ月前のことだった。向井氏が語る。

 「半年前、夫は末期がんの宣告を受けました。病院からの帰り道、夫は『俺たちには子どももいないし、財産はお前が全部もらえる。だから、俺が先に逝っても安心だからな』と、私に話しました。

 自分が大変な状態なのに、第一に私の心配をしてくれていたのです。そんな夫に遺言書を書かせておこう、なんて考えはまったくありませんでした」

 夫の財産は、自宅を含む不動産が5000万円分と、預貯金が1400万円。質素な生活を送る向井氏が余生を過ごすためには十分だった。

 夫婦ともに高齢だったこともあり、近しい親族はいなかった。夫の言うとおり、死後手続きに向けて、生前にしておくべき準備などない。向井氏はそう考えていたのだが――。

甥が出てきた…

 そして、夫が亡くなり、向井氏は喪主として葬儀を執り行った。

 この葬儀の場で、向井氏は想定外の相続トラブルに巻き込まれることになる。

 「20年以上会っていなかった甥が、突如『遺産分割協議はどうするか』という話を持ちかけてきたのです」(向井氏)

 向井氏の夫には兄がいた。兄はすでに亡くなっているが、その子どもである甥が、夫の葬儀に参列していた。

 故人のきょうだいが法定相続人の資格を持っている状態で亡くなった場合、その子どもである甥や姪が代襲して遺産を相続する権利があるのだ。向井氏の甥の場合、法定相続分は遺産の4分の1(1600万円)となる。

 とはいえ、これまでほとんど交流のなかった甥が、まさか夫の遺産を相続しようとするとは思わなかった。

 向井氏は、今後も自宅に住み続けたいと考えている。しかし、夫の残した1400万円の現金では、甥の法定相続分である1600万円を渡すことはできない。

 そのことを相談すると、向井氏の甥は、驚くべきことを口にした。

 「現金で払えないのなら、自宅を売っておカネを作ってもらえませんか」

 あまりに残酷な仕打ちだが、甥が納得しないかぎり、自宅を売却してでも、夫の遺産から1600万円を渡さなくてはならない。遺言書さえあれば、こんなことにはならなかった。

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最終更新:9/23(月) 8:01
現代ビジネス

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