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【出口治明】僕が産業革命を「人類最大のイノベーション」の一つと呼ぶ理由

9/23(月) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”、稀代の読書家として知られる出口治明APU(立命館アジア太平洋大学)学長。歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。
その出口学長が、3年をかけて書き上げた大著が、なんと大手書店のベストセラーとなり、話題となっている。BC1000年前後に生まれた世界最古の宗教家・ゾロアスター、BC624年頃に生まれた世界最古の哲学者・タレスから現代のレヴィ=ストロースまで、哲学者・宗教家の肖像100点以上を用いて、世界史を背骨に、日本人が最も苦手とする「哲学と宗教」の全史を初めて体系的に解説した本だ。なぜ、今、哲学だけではなく、宗教を同時に学ぶ必要があるのか?
脳研究者で東京大学教授の池谷裕二氏が絶賛、小説家の宮部みゆき氏が推薦、某有名書店員が激賞する『哲学と宗教全史』が、発売後たちまち第3刷となり、「日経新聞」にも大きく掲載された。
9月7日土曜14時、東京・八重洲ブックセンターに約80名が集結。満員御礼で行われた出版記念講演会の2回目を特別にお送りしよう。

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● 産業革命は国民国家と並ぶ 人類最大のイノベーション

 いろいろな哲学者の考え方は、その時代背景に規定されています。
マルクス(1818-1883)の時代は、産業革命の直後です。
産業革命は、歴史学者によって解釈が異なります。
「ものすごい出来事だ」という人もいれば「大したことないで」という人もいる。

 でも、僕は、産業革命は、国民国家と並ぶ人類最大のイノベーションだと思っています。

 それはどういうことかといえば、産業革命までの人間の歴史は、気候の関数といえる。

 なぜかといえば、ほとんどの産業は「農業」だったので、お天気がよくなって気候がよくなれば、たくさん食物がつくれ、備蓄もできる。そうすれば、大軍を動かせ、大帝国ができる。

 でも、気候が寒冷化すると、食物がなくなり、人口もバラバラになっていく。
 だから産業革命までの人間の歴史は、実は気候でほぼ説明ができます。

 でも、産業革命で経済的に豊かになると、雨が降っても雪が降っても関係なく、カラーテレビも自動車も生産可能となる。

 みなさん、近代的な「生産の3要素」とは、「土地」と「資本」と「労働力」と習った記憶がありませんか?

 でも、これは産業革命の工場モデルを前提としています。
 広い土地があって、そこに資本と人を投入して工場をつくる発想です。
 まず土地を整備する。そこに工場を誘致し、お金を集めて、高性能の機械を買う。そこに労働力(人)を入れ、自動車やカラーテレビをいっぱいつくる。
 これが「生産の3要素」だと僕は学校で習った気がするのですが、未だに日本でも工業団地を造成し、「広い土地がありますから、きてください」と誘致活動などをやっていますから、実は産業革命当初からあまり変わっていない気がしますね。

 昔、堺屋太一さんが「これからはアイデアやで」と「知価革命」が大切という話をされていました。

 グーグルは、土地や資本も労働力も何もない段階で、アメリカ人とロシア人の2人のドクターが議論している中から生まれた。
 まさに「知価革命」の申し子ですが、新しい産業は、実は土地も資本も労働力も必要とせず、人間のアイデアから生まれるようになった。

 でも、日本をはじめ世界でも、まだまだ産業革命が生み出した、土地、資本、労働力の3要素で考える世界が続いています。

 (つづく)

出口治明

最終更新:9/23(月) 6:01
ダイヤモンド・オンライン

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