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地方の病院が危ない…「薬の処方の現場」から薬剤師が警告

9/24(火) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

インターネットや書籍で得た知識によって、自身の健康管理をする人が増えました。このまま情報化が進めば、「医師や薬剤師の仕事はAIに取って代わられる」という言説すら囁かれていますが、その一方で、実際の地域医療の現場では、「人手不足」問題が深刻化しています。そこで本記事では、公益財団法人仙台市医療センター仙台オープン病院で薬剤師として勤務する橋本貴尚氏が、地域医療の現状について解説します。

自前で購入した書籍の情報を信じて薬を飲まない男性

地域医療の現場では、情報化や人手不足を原因とする諸問題が発生しています。そこで本記事では、これらの問題について「患者さんに薬を処方する薬剤師」という立場から考察していきます。

◆事例1

自前で『今日の治療薬2019』(株式会社南江堂)を買い、薬剤情報提供文書(以下、薬情)に書き込む男性患者(60代)。

筆者の働く病院は、仙台市の二次救急を担っており、救急外来には患者さんの直接受診のほか、地域の開業医や仙台市急患センターからの紹介を受け付けています。

筆者が夜勤中、「患者さんが薬のことで相談がある」と看護師から電話が来たので、伺いました。見せてもらった薬情には、鉛筆で「これは糖尿病の薬です」、「◯◯に注意してください」などと余白を埋め尽くすくらいびっちりと書いてありました。

患者さんは、「このアムロジピンという薬は横紋筋融解症がでる薬らしい。だから飲んでいない」と話します。筆者が「インターネットの情報などは、信頼できないものも多いですよ」と返すと、患者さんは「『今日の治療薬』を持っている」と答えました。

その場での推察ですが、患者さんのいう「アムロジピンの横紋筋融解症」は、「自発報告」であると考えられました。重篤副作用に分類されるものが「自発報告」された場合、それが1例であっても添付文書が改訂され、「重大な副作用」に掲載されます。アムロジピンの推定使用者数は数千万人いると思いますので、まず問題にならないだろうと考えられました。この旨を患者さんに伝えたところ、「医者も薬剤師も誰も教えてくれなかった。そういう話が聞きたかった」とおっしゃいました。

みなさん、薬情を真面目に見たことはありますか? これは筆者の私見ですが、薬情の記載の仕方は大きく2パターンにわけられます。

1つ目は、「説明漏れがあったら責任問題だ」ということで、びっちりと文章で埋め尽くされている場合。2つ目は「余計なことをいうと、患者さんが薬を飲まなくなるのではないか」と、空白が目立つ場合。今回の事例は後者のパターンでした。

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最終更新:9/24(火) 11:00
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