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穴の空いたバケツ状態の「自治体コミュニケーション」、今こそ見直しを

2019/10/1(火) 11:53配信

政治山

「自治体コミュニケーションの未来を展望する調査2019」より

 有限責任監査法人トーマツは今年7月、全国の市町を対象に実施した「自治体コミュニケーションの未来を展望する調査2019」の結果を発表しました。本調査を監修した慶應義塾大学SFC研究所上席所員の岩田崇さんに、調査の目的や、調査結果から見えてきた地方自治体における住民参画や広報・広聴の現状や課題について、お話を伺いました。

――なぜ、どんな目的でこの調査を行ったのか教えてください。

 地方行政、地方自治のコミュニケーションが軽視されており、実情と近未来の展望を全国規模で把握できればと考えたからです。

 かなり以前から地方行政の中で住民参画、広報・広聴などの住民と行政とのコミュニケーションの重要性は指摘されていましたが、現実には軽視されてきたと言えます。3度目(平成)の大合併の時もそうでした。

 全国の市や町の住民参画、広報・広聴の現状と展望が把握できると、自治体コミュニケーションの現状を踏まえた課題解決の緒を見つけやすくなりますし、何よりも問題提起ができると考えました。

――岩田さんから見て、自治体コミュニケーションの現状はどう見えていますか?

 近年、スマートシティやSociety5.0といったアプローチで、地方行政のIT化、IoT化は進むような印象がありますが、では実際に、行政と住民とのつながりが意識されているかというと、むしろ住民が置き去りにされている感があります。

 社会課題が複雑化するなかで、住民の理解と納得、そして協力が必要不可欠な状況の中で、現状のコミュニケーションは各自治体にとっても理想から離れたものになっていると言えるのではないでしょうか。

――そうした問題認識から調査を?

 そうです。私は、『自治体PRM』-住民と議会議員が同じスマホやPCを通じて、共通の情報を踏まえ、設問への回答結果の繰り返しマッチングによって、広域多人数の意思形成を行う仕組み(第11回マニフェスト大賞最優秀コミュニケーション戦略賞受賞)をはじめとした相互理解を実現する方法の研究と開発をしており、自治体コミュニケーションが発展する技術、知財とヴィジョンがあります。しかし、多忙な行政の現場ではどんな発展ができるかを考える機会はほとんどありません。

 各地域の個別事例に留まらず、全国的な視点で検証する必要があると考えていた所、有限責任監査法人トーマツのパブリックセクターの加藤さんを始めとするチームの皆様に、問題認識と趣旨へのご賛同をいただき、この調査を実施することができました。

 そして565の市や町から回答をいただくことができました。

――この調査からどんなことが見えたのでしょう?

 調査の題名のとおり、現状と展望が見えました。それぞれをまとめると――。

 現状は「自治体のコミュニケーションは穴の空いたバケツ状態」、展望は「穴の空いたバケツ状態を変えたいと考えている自治体も確実に存在し、近い将来に自治体コミュニケーションに変化が起こる予兆が見えた」と言えます。

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最終更新:2019/10/1(火) 11:53
政治山

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