ここから本文です

「むかつく」としか言えなくなっていませんか? 困難に挑む「楽観力」を育む

10/1(火) 8:10配信

NIKKEI STYLE

《連載》チェンジメーカーの育て方 UWC ISAKジャパン 小林りん代表理事(6)

変革への挑戦は、ときに困難に直面します。そこであきらめない強さは、どこからくるのでしょう。「変革を起こすチェンジメーカーを育てる」という理念を掲げる全寮制の国際高校、ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)ISAKジャパン(長野県軽井沢町)の小林りん代表理事は「困難に挑む力を身につけるのに大切な要素のひとつが『楽観力』です。これは経験を通じて培えるものだと考えています」と話します。

■あきらめない強さ 実は育てられる「スキル」

人は苦しくなると先行きを悲観し、周囲の人や環境のせいにしてあきらめ、逃げ出そうとしがちだ。そこで挫折する人と踏ん張ってやり切る人の分かれ目はどこにあるのか。小林氏は「両者の違いは、精神力の強さや性格の問題と思う人が多いかもしれません。しかし、それは『スキルの問題だ』というのが私たちの考えです」と話す。

「近年の脳科学の進歩で『楽観力』が注目されるようになりました。同じ問題をみても『大変だ。嫌だ』と悲観的に捉えるネガティブな人と、『大変だけど、やりがいがある。チャンスだ』と前向きに捉えるポジティブな人がいます。この両者の脳のシナプス(神経細胞の接合部)のつながり方に違いがあると分かってきたのです」(小林氏)

しかも、この傾向は「トレーニング」で強化されるという。つまり悲観的に考える人はますます悲観的に、楽観的に考える人はますます楽観的になる傾向が出てくるというのだ。だとすると、ポジティブに考える癖をつければ、そういう性格に近づいていくことになる。楽観力は鍛えられるのだ。

■楽観できる材料を探す力

自分の置かれた状況と、そこで生まれた感情を分析し、自分への理解を深める方法を学ぶUWC ISAKの授業「リーディング・セルフ(自己を導く)」も、困難な状況で前を向く姿勢につながる。(この授業についての記事は「変革の道は『ワクワク発見』から 問いを立てる力とは」)

小林氏は「何に対しても『むかついた』としか言えない人と、その感情をいろいろな言葉で表現できる人では、後者の方がはるかに自制が利くことがわかっています。自分の感情を理解し、悲劇的とも思える状況を分析する。その中から楽観できる材料を探し、前向きな行動につなげていく。これは実践を重ねることで培える能力だと捉えています」と強調する。

すべての生徒が参加するUWC ISAKの課外活動「アウトドア」も、困難に挑む力を鍛える経験になるようだ。生徒は地図とコンパスを頼りに榛名山や八ケ岳など、それぞれのレベルに合った山に登る。小林氏は「アウトドアでは、天候の急変や予期せぬ体調の変化、仲間の忘れ物など、さまざまなハプニングが待ち受けています。人間の力ではどうにもできない要素も多いでしょう」と話し、ある生徒のエピソードを紹介する。

1/3ページ

最終更新:10/1(火) 10:50
NIKKEI STYLE

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事