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目に見えない「匂い」の元を探せ!QOLを下げる悪臭に向き合う【臭気判定士】のおしごと

2019/10/2(水) 11:20配信

日本の人事部

人は「匂い」に囲まれて生きている。ぐつぐつと煮立った料理の柔らかで甘い匂い、すれ違った人から運ばれてくる香水の匂い。鼻をつくようなゴミ捨て場の匂いもあれば、野生動物が発する獣の匂いもある。人に幸福感をもたらすこともあれば、不快な気持ちにさせることもあるだろう。嗅覚は人の記憶や感受性と深いつながりのある感覚で、味覚と並び化学性感覚と呼ばれる。そんな匂いをかぎ分け、課題解決につなげる職業が、臭気判定士だ。

悪臭による苦情は、全国的に減少傾向

悪臭による苦情は、全国で12,000件以上。原因として最も多かったのが、「野外焼却」。次いで、「サービス業・その他」と続く。苦情のピークは、平成15年度の約24,000件。そこから年々減少し、13年連続で苦情は減り続けている。その一端を担っているのが、臭気判定士の活躍だ。

臭気判定士は、平成8年に始まった新しい資格で、環境保全の観点からみた臭気分野において初めての国家資格だ。臭気測定を監督する公認オペレーターで、悪臭の発生源となっている事業者に対し、市町村とともに改善勧告・命令を行うことができる。この職業が誕生するきっかけになったのが、「悪臭防止法」だ。悪臭防止法は環境省が管轄する法律で、事業活動によって発生する悪臭に対して必要な規制を行うことを目的とするもの。ある匂いを規制の対象とするか否かを判断するための存在として、国家資格「臭気判定士」は誕生した。匂いを測るための指標には、「臭気指数」あるいは「臭気濃度」が用いられる。方法は2種類。分析機器による測定法と、人の嗅覚を用いる嗅覚測定法だ。臭気判定士は、後者の嗅覚測定法を公式に行うための資格だ。

創設されて20年あまり、現在は全国で約3,300名の臭気判定士が活躍している。平成28年度のデータでは、悪臭防止法の規制地域における苦情は、4,870件だった。うち1,762件で立ち入り検査を行い、報告の徴収は 347 件、測定は 68 件。測定の結果、規制基準を超えていたものは 31 件だったが、1,374件の行政指導が行われているという。

環境省は自治体と連携し、悪臭を抑えることを事業者の義務の一つであることを啓蒙してきた。たとえば、脱臭装置の導入、原料などの搬入や保管方法の改善、焼却の中止、営業・操業時間の変更など。ピーク時と比べて約半数となっている悪臭に関する苦情は、行政とともに臭気判定士が一つひとつの調査を積み上げた成果だ。

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最終更新:2019/10/2(水) 11:20
日本の人事部

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