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大日本住友、「3200億円巨額買収」の皮算用

10/2(水) 6:10配信

東洋経済オンライン

 製薬大手の一角、大日本住友製薬が同社史上最大、3200億円の企業買収に踏み切る。

【グラフ】大日本住友製薬の売上高は主力のラツーダに偏重している

 「これで次世代の成長ドライバーの準備が整った」

 9月6日、買収発表会見の席上で同社の野村博社長は胸を張った。

■3年後に消える「大黒柱」、大日本住友の危機感

 大日本住友が買収するのは、スイスとイギリスに本社を置く2014年創業の創薬ベンチャー「Roivant Sciences(ロイバント・サイエンシズ)」社の研究開発子会社5社などだ。10月末の契約締結を見込み、年間の研究開発費用が1000億円に満たない大日本住友にとって社運を懸けた買収になる。

 大日本住友は、精神や神経領域の薬剤に強みを持つ。現在の主力品は統合失調症薬「ラツーダ」だ。自社創薬で2011年にアメリカで発売を開始し、2018年度の売上高は約1900億円。大型薬の目安とされる1000億円を優に超え、全社売上高約4600億円の4割超を稼ぐ大黒柱である。

 だが、裏を返せば、「ラツーダ頼み」の収益構造とも言え、2023年初にも訪れるラツーダの特許切れ後、収益柱や成長ドライバーをどう確保するかが大きな課題となっていた。

 医薬品は新薬の特許が切れれば、より安い後発品が市場を席巻する。とくにラツーダが主戦場としているアメリカでその傾向が顕著で、後発品登場から1年後、先発品の売上高は10分の1程度にまで急降下してしまう。

 大日本住友は3年後に差し迫ったこの危機を乗り越えるため、新薬開発に注力してきた。目玉はがん関連の新薬。がん領域は生活習慣病などに比べて既存薬が少ないうえ、市場の成長余地も大きい。

 大日本住友が開発するがん領域の候補薬で期待されていたのが、「ナパブカシン」だ。胃がん、膵がん、結腸・直腸がん向けに、臨床試験(治験)の最終段階である第3相まで開発が進んでいた。

 しかし、2017年6月に胃がん向けの開発に失敗した。2019年7月には膵がん向けの治験も中止し、現在残るのは結腸・直腸がん向けのみとなった。「膵がん向けの失敗によって、(1000億円程度を見込んでいた)ナパブカシンの2022年度の売上高は半減してしまった」(野村社長)。ナパブカシンをがん次世代薬の柱にするという目算は外れたのだ。

 【2019年10月2日15時31分追記】野村社長のコメントを上記のように修正いたします。

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最終更新:10/2(水) 15:32
東洋経済オンライン

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