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高校野球で「脱・丸刈り」が急増中 それだけでは競技人口の減少は食い止められない

10/4(金) 7:31配信

デイリー新潮

 燦々と輝く太陽の下、丸坊主の球児たちが白球を追いかける――そんなイメージが強い高校球児だが、代名詞の“丸刈り頭”が減りつつあるという。丸刈りが嫌で野球をやりたがらない若者が増えているため、髪を伸ばしてもOKな高校が増えているのだ。野球界全体では、野球人口を増やすためにこうした取り組みが行われているが、はたして奏功するのだろうか。高校・大学球児向け雑誌「サムライベースボール」発行人の古内義明氏に聞いた。

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 公益財団法人 日本高等学校野球連盟(高野連)の調査によると、高校野球人口は2014年に17万人を突破して以来、減少の一途をたどっている。今年は約14万人となり、この5年間で約3万人も減少しているという。

 その一因には、中学球児が丸刈りを敬遠していることが挙げられているという。そこで、最近は丸刈り禁止、あるいは髪型自由の動きが加速しているのだ。

 今夏の甲子園に出場した花巻東、秋田中央、旭川大などの球児たちも丸刈り頭ではなかったし、常連校の新潟明訓も脱丸刈りを宣言。同校野球部の波間一孝部長は「硬式野球を選ばない理由の一つに“坊主が嫌だ”というのがある以上、少しでもそういうものがなくなっていけば」と話し、大谷翔平と菊池雄星の両選手を育てた花巻東の佐々木洋監督も「(脱丸刈りは)時代の流れ」とコメントしている。

「子どもたちの選択肢が広がるのは良いことだと思います。高校野球人口減少の歯止めには多少なりとも寄与するでしょう。丸刈りをやめることは、高校野球にとって、少なくともマイナスにはならないと思います」(古内氏)

 高野連と朝日新聞の調査によると、2018年、丸刈りの高校は全国3939校のうち76.8%にも上る。これらの高校が坊主をやめれば、高校野球人口の減少に歯止めをかけられるかもしれないというわけだ。

高すぎる道具代も敬遠される一因

 高校球児の人口減少の他の要因としては、高額な道具代も考えられる。グローブは5万円、バットやスパイクも2万円以上する。そこに練習用のユニフォームなどが加わると、格差社会が叫ばれる昨今にあっては、家庭の経済的負担はかなり大きい。これらの課題について古内氏は次のように語る。

「道具代についても、野球界全体でもっと議論していかなければならない問題です。近年は中学軟式野球の人口減少も著しく、最盛期には30万人いたのが、いまや16万人ほどに減少してしまいました…。こうした事態を受けて、最近は少年野球団体が子どもに道具を貸し出すケースもあり、改善しようとする取り組みも見られます」

 競技人口を増やすために、プロ野球ではこんな動きも。

「野球のことを知らずに部活の顧問になる先生もいますから、彼らのためにNPB(一般社団法人 日本野球機構)は授業研究会を行ったり、『壁当て』(壁に向かってボールを投げては取る練習)用の壁を作ったりしています。ただ、NPBで使った道具をアマチュアに流して還元するなど、もっとダイナミックな取り組みも必要でしょう」

 また、2017年には競合するスポーツ用具メーカー19社が、「一般社団法人 野球・ソフトボール活性化委員会」を発足させ、プロ野球の試合に親子を招待するなどの施策も行っている。

 このように、各団体は野球人口を増やそうと躍起だが、古内氏は「これ以上の増加は困難」と予測する。

「少子化や野球以外のスポーツの人気により、これから爆発的に野球人口が増えるとは考えにくいです。とにかく今後は野球へのハードルを今より少しでも下げて人口の現状維持に務めるべきでしょう」

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最終更新:10/4(金) 7:31
デイリー新潮

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