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早川史哉、1302日ぶりのJリーグ。白血病から笑顔のカムバック。

10/7(月) 19:01配信

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 笑顔の復活だった。

 早川史哉が1302日ぶりにJリーグのピッチに帰ってきた。

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 早川は筑波大学から2016年にアルビレックス新潟に加入。ルーキーイヤーからいきなり開幕スタメンを掴むなど、順風満帆なプロ生活をスタートさせた。しかし、白血病という恐ろしい病魔に襲われた。サッカー選手という、一度は叶えた目標を手放さなければならないところまで追い込まれた。それでも、彼は心折れることなく、情熱を消すことなく、想像を絶する過酷な治療とリハビリの日々を経て、復活の日を迎えた。

 J2第35節のホーム・鹿児島ユナイテッドFC戦。リーグ戦は2016年3月12日の横浜F・マリノス戦以来の出場だった。カップ戦を含めると同年3月27日ルヴァンカップのサガン鳥栖戦以来、1287日ぶりの出場だった。

 突然の白血病発表から約3年半。公式戦のピッチ上にいる背番号28に、新潟サポーターたちは誰よりも大きな声でコールし、チャントを歌った。

 「ずっとこの景色を見るために、ここでプレーするために闘病生活をやってきたと言っても過言ではなかった」

生粋のアルビレックスっ子。

 新潟生まれ、新潟育ち。中学1年から高校3年まで下部組織で育った生粋のアルビレックスっ子だ。そんな彼にとって、プロとして立つビッグスワンのピッチは特別だった。

 「アップの時に、やっぱりチラチラとスタンドや周りを見てしまいました。チャントもコールも聞こえていて、いろんな思いが次々とこみ上げてきて、ちょっと平静を保つことが難しかった。でも周りに緊張しているなとか、気持ち高ぶっているなと思われたくなかったので、普通な顔をして我慢しました」

 こみ上げてくるものを必死で堪えるために、彼が見せたのは笑顔だった。アップのためにピッチに飛び出して行くときも、ゴール裏のサポーターへ投げたサインボールが届かなかったときも、集合写真を撮るときも、彼はずっと笑顔だった。

追加点を呼び込んだ早川の判断。

 右サイドバックとしてスタメン出場をした早川は、開始早々の3分にオーバーラップからクロスを上げるなど、スムーズに試合の入った。1点をリードした20分には早速、早川らしい頭脳的なプレーがチャンスを生んだ。

 右サイドでMF戸嶋祥郎からパスを受けると、早川は中央に走り込むFWレオナルドとMF渡邉新太の姿を捉えた。

 「レオと新太が動いていたけど、(直接クロスを送り込むのは)ちょっと通る可能性が低いし、タイミングが早すぎるなと思った。前進してから、左に振って、相手の動きをもう一度逆にすることを考えました」

 相手のCBとボランチがレオナルドと渡邉の動き出しに反応していることを察すると、わざと中へトラップして相手を食いつかせ、戸嶋にリターンパスを送った。「左に展開しろ」という早川のメッセージ付きのパスを受けた戸嶋は、その通りに左サイドのスペースに走り込んだDF堀米悠斗に大きくサイドチェンジ。堀米の左クロスから渡邉の鮮やかなワントラップシュートがゴールに突き刺さった。

 貴重な追加点の裏には早川の味方と相手の全体を視野に入れた冷静な判断があった。

 29分にはルーズボールの競り合いから、鹿児島FWルカオに乗り上げるような形で、空中でバランスを崩して、ピッチに腰を強打した。腰を押さえ、倒れ込んだままの姿に一瞬、場内が凍りついた。だが、彼は笑顔で起き上がると、スタッフから水を渡されたときも笑顔だった。2分後には転倒のダメージを感じさせない軽快な動きで、右からのクロスをダイレクトでクリアしてビッグスワンが沸いた。

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最終更新:10/7(月) 19:01
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