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『キングダム』は個の力で生きる時代の必読書だ

10/7(月) 7:00配信

日経ビジネス

 起業家から大企業の経営幹部、気鋭のプロフェッショナルらが愛読するベストセラー漫画『キングダム』(原泰久著、集英社)。累計発行部数は4500万部を突破し、この春には映画化もされた。

【『キングダム』より】「全力を引き出して戦う刻(とき)が来たからだ」――天狼院書店店主・三浦氏が着目する、「合従軍の戦いのシーン」での秦国の将軍・蒙武(©原 泰久/集英社)

 中国の春秋戦国時代を舞台に、類いまれなる武力を持つ戦災孤児の主人公・信(しん)が、中華統一を目指す秦の若き王・嬴政(えいせい)の下で、天下の大将軍を目指すストーリーに、多くのファンが魅了されている。

 兵を率いるリーダーシップ、数千人、数万人規模の兵をまとめる組織づくり、部下を育てる人材育成、そして戦略や作戦、戦術の練り方など――。多くの学びが、『キングダム』には盛り込まれている。

 本連載では、『キングダム』を愛読する起業家から大企業の経営幹部、気鋭のプロフェッショナルらに取材。『キングダム』から何を学び、どう経営に生かしているのか聞いた。

 今回登場するのは、独自の編集力とイベント企画力で顧客を開拓するユニークな書店チェーン「天狼院書店」を経営する東京プライズエージェンシーの三浦崇典社長。自身が経営する書店チェーンでも、目立つ場所に『キングダム』全巻を並べるほど、思い入れは強い。書店業界全体を見渡せば、出版不況の影響は避けられない。だがその中でも独自のイベントや教室、企画などでファンを増やす三浦社長は、どのように『キングダム』を読んでいるのか。(構成/井澤 梓)

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――今回、取材に訪れたのは東京・池袋の駅ビル「エソラ池袋」に入る「天狼院Esola池袋店」。こちらの売り場にはずらりと『キングダム』が並んでいます。

三浦社長(以下、三浦):起業して10年、独自の編集力と企画力を売りに「天狼院書店」を展開してきましたが、『キングダム』の世界と同じようにこれまでは、ピンチの連続でした。

 やっと足場が固まってきたなと思うと新しい強敵が出現する。目の前の課題を何とか乗り越えてきたんです。

 『キングダム』で例えるなら、僕たち天狼院書店は「山の民」のような存在なのかもしれません。

 人通りの多い好立地には大手書店チェーンがもう国を築いています。僕たちが入りこむ余地はない。ですから天狼院書店の1号店は、池袋駅から随分と離れた住宅街の一角にオープンしたんです。

 肥沃な大地で勝負をすることができず、山の民のように、山岳地帯の厳しい環境で鍛えられてきた。人通りが多い場所ではないので、「あえて店まで足を運んでくれるお客さん」を作らなくてはいけませんでした。

 魅力あるイベントや選書、企画……。厳しい環境でスタートしたからこそ、集客力を鍛えることができたんだと思います。ちょうど、山の民たちが山岳地で多様な能力を研ぎ澄ませていくのと同じでしょうね。

 少しずつ集客力や企画力を鍛えながら店を増やしていくと、僕たちのようなスタイルの書店を面白がってくれる商業施設も増えていきました。そのおかげで、池袋駅の隣接する駅ビル「エソラ池袋」やJR土浦駅の駅ビル「プレイアトレ土浦」に新型店を開くことができました。

 特に土浦のような、郊外の駅ビルで成果を出すことができれば、全国の鉄道関連の企業やデベロッパーとタッグを組んで、一気に天狼院書店を100店規模に増やせます。辺境の地でじっと力を蓄えていたら、やっと平地に降りて思う存分戦えるようになった。まさに今、僕たちはそんな環境にいるんです。

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最終更新:10/7(月) 7:00
日経ビジネス

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