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“空母”いずも 搭乗ルポ「ステルス戦闘機離発着の大甲板」潜入撮

10/8(火) 8:01配信

FRIDAY

タラップから艦内に入ると、目の前に巨大な空間が広がった。ヘリコプターの格納庫だ。3.5tトラックなら、50台は積み込める広大なスペースである――。

【画像】フォトルポ “空母”いずも 格納庫内部などを潜入撮

週末の人出で賑わう横浜港。桟橋に停泊していたのは、海上自衛隊の護衛艦「いずも」だ。建造費1200億円をかけた「いずも」の特徴は、全長248mという海上自衛隊史上最大の大きさ(旧日本軍の巨大戦艦「大和」は全長263m)。ヘリ14機に加えて500人の搭乗員を一度に搭載できる。

「政府は昨年12月、『防衛計画の大綱』のなかで最新鋭の米ステルス戦闘機F35Bを『いずも』で運用することを決めました。日本は憲法解釈上、戦闘機を乗せるいわゆる空母の保有は認められていません。だが高まる日本近海での紛争リスクを背景に、“空母化”へ踏み切ったんです。来春以降、31億円をかけて戦闘機が離着陸できるよう飛行甲板などを改修します。運用開始は’23年頃。10機ほどの戦闘機を搭載する予定です」(全国紙記者)

その「いずも」が10月5、6日に一般公開された。政府が“空母化”することを決めてから初の公開。以下は、巨大護衛艦の搭乗ルポである。

◆機関砲は20秒で1550発

ヘリ格納庫を艦首方向へ歩いていると、巨大な天井が上からゆっくりと降りてきた。格納庫と甲板の間でヘリを輸送するエレベーターだ。乗り込むと「グォーン」というモーター音ともに今度は上昇し、20秒ほどで16m上の飛行甲板へ出た。ここから複数のヘリが離発着するのだ。戦闘機用にどこを改修するのか。隊員の一人が話す。

「甲板の床を耐熱仕様にし、戦闘機の滑走の邪魔になる装備も取り除きます。日本には、ジェット戦闘機の離発着可能な船はありませんので、F35Bを運用する米軍の空母を参考にすることになるでしょう」

艦首部分には通称「バルカン砲」と呼ばれる20mm機関砲が見える。「いずも」には、機関砲とミサイルが2基ずつ装備されている。人の背丈ぐらいある白い筒状のレーダーで敵艦の捕捉や追尾。対艦ミサイルがこちらに飛んできた場合は、機関砲で撃破するのだ。

「この機関砲は、敵艦の捜索から攻撃まで全自動です。最大装填数は1550発。全て撃ち終えるまでわずか20秒ほどです」(前出の隊員)

甲板後方には、任務の中心を担う対潜哨戒ヘリ「SH-60K」の姿もあった。映画『シン・ゴジラ』に登場し、太平洋上でゴジラを探したヘリだ。敵の潜水艦を見つけるために海上スレスレに飛び、音波探査装置で探知。機体側面に黄色い魚雷を搭載している。

公開日には数千人が搭乗。一人の男性が「『いずも』が空母になるとは、憲法を順守する自衛隊員としては口が裂けても言えませんよね?」と、隊員に意地悪な質問をした。するとベテラン隊員は「空母ではありません。戦闘機の運用能力を持たせた護衛艦です」と語気を強めた。

軍事評論家の前田哲男氏が言う。

「今まではヘリ専用の護衛艦だったので、日本の専守防衛が守られてきました。しかし攻撃能力を持つF35Bが離着陸するとなれば、まぎれもない空母です。日本は安保法制で米国との軍事協力を正式に可能とし、今回の『いずも』の“空母化”でともに戦う姿勢をより鮮明にした。米中の対立が激化して軍事衝突が起きれば、日本が巻き込まれるリスクも自動的に高まることになります」

「いずも」の“空母化”は、日本の将来を決めるターニングポイントになるかもしれない。



取材・文:桐島 瞬(きりしま・しゅん)
ジャーナリスト。’65年、栃木県生まれ。原発問題からプロ野球まで幅広く取材。『FRIDAY』や『週刊プレイボーイ』、『週刊朝日』など雑誌を中心に活躍している。

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最終更新:10/8(火) 10:24
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