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できるリーダーは「なぜ、その仕事をする必要があるのか」だけを伝えない

10/9(水) 12:05配信

PHP Online 衆知(THE21)

「なぜ、あなたに頼むのか」も伝えよう!

 部下に仕事を頼むときには、「なぜその仕事をやる必要があるのか」「なぜその仕事をすることになったのか」といった仕事の理由や背景を伝える必要がある。しかし、意識の高い部下であれば、「組織のため」という理由で動く人もいるが、「部下自身のため」という理由ほどには、部下には響かない。

※本稿は、吉田幸弘著『リーダーの「やってはいけない」』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

最低限のレベルのアウトプットしか出ない理由とは

 仕事の理由・背景=「WHY」をきちんと伝えないと、部下は「やらされ仕事」だと感じる可能性が高まります。

「〇〇社へのプレゼン資料、作っておいて」
「来期の売上予測をまとめたグラフ、作っておいて」

 こんな仕事の頼み方では、部下のやる気は上がりませんし、提出物のクオリティも上がりません。部下の側としては、せいぜい最低限のレベルのものを作って、合格点を取っておこうという感じでしょう。

 とある部署のリーダーのAさんは、部下に仕事を頼むとき、必ず「なぜその仕事をやる必要があるのか」を伝えていました。

「〇〇社へのプレゼン資料、頼んだぞ。取れたら大口顧客になるし、会社にとっても部署にとっても大事な案件だからな」
「来期の売上予測をまとめたグラフを作ってほしい。来期の部署の予算を多く確保できるチャンスだからな」

 部下がその仕事をするべき理由を、Aさんは必ず伝えていました。内容は具体的で、部下の側も明確に理解していました。
 しかし、Aさんの部下が提出してきた資料は、最低限のレベルはクリアしていましたが、何かインパクトが足りない、最高のクオリティというには、ほど遠い状態でした。
 非常に大きな温度差を感じたAさんは、「WHY」もしっかり伝えたのに、なぜ部下が「自分ごと」として受け取ってくれないのだろうかと悩んでしまいました。

部下の心に火をつけるポイントは?

 できるリーダーは、同じWHYを伝えるにしても、「なぜ(会社・チームのために)その仕事をする必要があるのか」だけではなく、「なぜあなたに頼むのか」も合わせて伝えます。たとえば、

「B君、〇〇社へのプレゼン資料、頼んだぞ。取れたら大口顧客になるし、B君の昇格のきっかけとして社内にアピールできる。だから、この仕事はB君にお願いしたいんだ」
「Cさんには、来期の売上予測をまとめたグラフを作ってほしい。来期の部署の予算を多く確保できるチャンスだし、それが実現できれば、Cさんがこの前言っていた新しいサービスの立ち上げも検討できるしね」

 このように、部下が育つリーダーは、本人がやる気を出すポイントに即した「WHY」を添えた頼み方をします。
 前者のB君は「昇格したい」というキャリアアップ志向、後者のCさんは「新しいサービスを立ち上げたい」というチャレンジ志向があるわけです。部下が育つリーダーは、このように部下の心に火をつけるポイントを「WHY」にして伝えるようにしているのです。

 また、頼む仕事の内容によって、「資料作りといえば伊藤君だろ」「データ分析といえば山本さんだろ」と、「あなたの得意分野だからお願いしたい」というやり方もあります。
 しかし、実はこの方法は、単発で仕事をお願いするときならいいのですが、このような頼み方を続けてしまうと、本人にとっては「なぜ自分ばっかり」と疑問を持ち、「他の人に頼んだっていいじゃないか。D さんだってこの仕事できるのに」と、むしろ反発を招く危険性もあるのです。

 そもそも仕事は得意な人に集中してしまいます。だからこそ、部下のやりたいことにフォーカスした「WHY」を添えることが、できるリーダーの条件なのです。

吉田幸弘(リフレッシュコミュニケーションズ代表)

最終更新:10/9(水) 12:05
PHP Online 衆知(THE21)

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