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小島健輔リポート オンワードはルビコンを渡った 巨額損失と大量閉店の真実

10/9(水) 8:20配信

WWD JAPAN.com

600店閉鎖は巨額特損の元凶ではない

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する不定期連載をスタート。今回はオンワードホールディングスが発表した構造改革の真の狙いを読み解く。

小島健輔リポート オンワードはルビコンを渡った 巨額損失と大量閉店の真実

 600店の閉鎖と250億円の特別損失という突然の発表で業界を震撼させたオンワードホールディングス(HD)だが、実は600店の閉鎖は250億円の特別損失とは無関係で、600店の閉鎖による損失はこれから発生することになる。巨大アパレル企業のドラスティックな構造改革シナリオを明らかにしたい。

 オンワードHDは10月4日、2020年2月中間期(19年3~8月)に特別損失252億8600万円を計上するとともに、20年2月通期の連結業績予想を下方修正した。

 売り上げは従来予想2560億円を据え置いたが、営業利益は43億2000万円引き下げて12億円、経常利益は45億5000万円引き下げて11億円5000万円、最終損益は295億円引き下げて240億円の赤字になると発表した。最終損益が赤字になるのは、リーマンショックに直撃されて2期で売り上げが18%も減少した09年2月期の308億9500万円以来11年ぶりだ。

 中間期に計上した特別損失252億8600万円の内訳は、事業整理損が31億1700万円、減損損失が221億円3900万円。分野別では、キャラクターグッズからリゾート事業まで22社と多岐にわたる「ライフスタイル関連事業」が57億3300万円、ラグジュアリーブランドなど「海外アパレル関連事業」が50億700万円と大半を占め、「600店を閉鎖」と特損の元凶のように報道された「国内アパレル関連事業」は5億200万円でしかない。

 600店の閉鎖でいくら減損が生じるかについては推測の域を出ないが、地方や郊外の百貨店インショップが大半だとしても70億~90億円ほど要するし、「オープニングセレモニー」など大型店や海外店舗も含まれると100億円を大きく超えてしまう。今中間期に行われたのはごく一部に過ぎず、大半は今後に発生するはずで、今中間期の巨額の特損とは無関係だ。

 では巨額減損の本当の元凶は何か。BS(貸借対照表)を見ると、流動資産には若干の貸し倒れが推察されるだけで異常値はなく、有形固定資産(土地・建物)の105億4000万円、無形固定資産(のれん代)の40億3300万円、投資有価証券の73億300万円の減少が特筆される。BSに計上された無形固定資産の減少とは一致しないが、中間期決算短信には「のれんの金額の重要な変動」として108億9500万円の減損計上を注記している。

 巨額減損のほとんどは「ライフスタイル関連事業」と「海外アパレル関連事業」で発生した土地・建物、のれん代、投資有価証券の損失で、「国内アパレル関連事業」の構造改革とは無関係と見るべきだ。ECシフトとデジタル化を軸とした抜本的構造改革を進めるべく、過去の試行錯誤のツケを清算したのが今回の巨額減損の実態ではなかったか。

 となれば、600店を閉鎖する減損は下期以降に発生することになるが、20年2月期連結業績予想には中間期で計上した以上の減損は見込まれていない。600店の閉鎖は来期以降の課題であり、実行段階では再び少なからぬ減損が発生することになる。

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最終更新:10/9(水) 8:20
WWD JAPAN.com

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