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【ONE】大沢ケンジが解説! 修斗vsパンクラス王者対決の見所・前篇「佐藤将光vsハファエル・シウバ」「エルナニ・ペルペトゥオvs手塚裕之」=10.13 両国

10/9(水) 15:51配信

ゴング格闘技

10月13日(日)、東京・両国国技館で開催される『ONE:CENTURY PART II』。同大会では修斗vsパンクラス対抗戦として両団体が誇る王者同士の対決が4試合行なわれる。その中でも前篇の今回は佐藤将光vsハファエル・シウバ、エルナニ・ペルペトゥオvs手塚裕之の2試合について、ONEやパンクラスで解説を務める大沢ケンジ氏に見どころを聞いた。

【写真】ケージからケージまで走ってドライブするシウバのタックル

東南アジア最大の格闘技プロモーションONE。その100回目となる記念大会は東京・両国で開催。『Century 世紀』と『CENTURY PART II』の昼夜2部に分けて11試合ずつが行われ、昼の部である『Century 世紀』では女子アトム級王者・アンジェラ・リー(シンガポール)が、同ストロー級王者・ション・ジンナン(中国)の挑戦を受ける王座戦。夜の部『CENTURY PART II』では同じくライトヘビー級王者・アウンラ・ンサン(ミャンマー)が同ヘビー級王者のブランドンベラを相手に防衛戦を行う。

そして夜の部『CENTURY PART II』の見どころとして挙げられるのは修斗vsパンクラスの対抗戦。いずれも日本の老舗プロモーションである両団体が威信を懸けて4人のチャンピオンを送り出し、対決させる。

まずバンタム級では、鋭い打撃を武器にONEでも活躍し現在4連続KO勝利中の修斗世界王者・佐藤将光(FIGHT BASE)が、圧倒的なテイクダウン能力とグラウンドテクニックでパンクラスのベルトを守るハファエル・シウバ(ブラジル)と対戦。

ウェルター級では修斗ブラジルの王者でUFC参戦経験もあるエルナニ・ペルペトゥオ(ブラジル)が、高い身体能力と一発の破壊力を持つパンクラス王者・手塚裕之と激突。両団体の王者はONEという舞台でどのような戦いを見せるのか。


▼第3試合 ONEバンタム級(※65.8kg)5分3R
佐藤将光(日本/FIGHT BASE)修斗世界バンタム級王者
ハファエル・シウバ(ブラジル)PANCRASEバンタム級王者

――ONE100回記念大会で行なわれる修斗とパンクラスの王者対抗戦。まずバンタム級の一戦についてです。修斗王者の佐藤将光選手は33勝16敗3分1ノーコンテストの成績を持ち、打撃を武器とする選手。既にONE参戦を果たしています。対するパンクラス王者のハファエル・シウバは組み技・寝技が武器で戦績は31勝6敗。両選手の特徴はどういったところでしょうか?

「佐藤選手は超攻撃型、そして本当の万能型だなという感じがしますね。打撃の種類も豊富だし、たぶん格闘技オタクだと思うんですよ。やりたいことがたくさんあって全部詰め込んじゃう感じでメチャクチャ器用なタイプ。昔はその辺が上手く整理できていなかったように見えましたけど、最近はそれが整理出来始めているのかなと思います。打撃で言うと、本当に色んなことをやりますね。独特のステップからカカト蹴り、カーフキックもやって近づいたらヒジ、ヒザがあるし、近づいても打ち合える。すごく打撃を散らすので、その分逆に器用過ぎちゃう部分はあるかなと思います。強引に行く感じはあまりないなと」

――シウバに関してはどうでしょう。

「打撃もそこそこできるけど、やはり強いのは組みですね。ブラジル人に多いのはしっかりアゴを引いてパンチを思い切り振りながら前に出て、距離が近づいてきたらタックルに入ると。シウバのタックルは低くて走るようなタックルなので、直線上にいたら絶対に触られてしまう。レスリングのタックルだとちょっと距離を外したら倒されないことが多いんですけど、シウバのタックルはとにかくダダダッ! と走って金網まで押し付ければいつか倒せるだろ、という感じだと思います。だから“線路の上にいちゃいけない”というか」


――佐藤選手とは対照的な、無骨にゴリゴリ行くタイプですね。

「器用な選手と不器用な選手のいいところ悪いところはあると思っていて、器用な選手はある程度シチュエーションが変わっても“いいよやってやるよ”と、こだわらない。不器用な選手は自分の得意なところから外れそうになったら無理やりにでも得意なところに戻す。そこにこだわる気持ちが強いので、不器用な選手は得意なところに来た時にのびのびと戦える時間が長いのかなという感じがします。逆に器用な選手は、僕もそうだったんですけど妥協しやすいイメージがあるんですよ」

――我儘に戦うのは不器用な選手だと。さらに打撃の佐藤選手、寝技のシウバ選手という対決にもなっています。

「シウバは上田将勝戦(3R判定勝利)でも走り込んで何度もタックルを取っている。だからこれって本当にしっかりと切らなきゃいけなくて、受け止めなくちゃいけないタックルだと思うんですよ。しっかり腕を一本差すか、頭をつぶしてしっかりとスプロールするとか、そうやって一回相手のクラッチを無効にしないといけないので、結構大げさな切り方をしないといけない」

――やはりテイクダウンを防ぐことが佐藤選手には重要だと。

「佐藤選手がシウバのタックルをどう切るかがポイントになってきますね。シウバと戦う選手はみんなタックルの距離を外そうとするじゃないですか。瀧澤謙太戦とかは瀧澤選手が距離を取る展開になった(1RシウバがRNCで一本勝ち)。僕は佐藤選手も距離を外すんじゃないかなと思うんですよね。動きながら正面に立たないように戦う。でもそれは逃げることでもあるので、どこかで正面に立つ、『来いよ、お前のタックル潰してやるよ』という気迫がないといけない。逃げられていると相手が思っている限りはずっと追われ続ける。

金太郎戦(2Rシウバが肩固めで一本勝ち)では1Rタックルに来たシウバにケージ際で金太郎がエルボーをガンガン入れて弱らせたじゃないですか。自分の得意なところで勝負されてそれを潰されると人間って弱気になるけど、逃げられていると思えば強気になれる。でも佐藤選手は経験があるからな……。そこを足を使って捌く気もするし、勝負する気もしますね」

――逆に言うと外してでも打撃を当てていける上手さが佐藤選手にはある。

「うーん……でもそれで僕が思うのは、日本人選手の悪い癖があって、勝負せずに技術で上手く勝つというという選択をしがちだと思うんですよ。そうすると相手は、逃げてるだけだから無理やり行ってやろうと覚悟も決まる。だから僕はやっぱりそういう戦略はしてほしくないですね。あと実際、シウバのタックルからは逃げられないだろうと思います。佐藤選手が普段の足の使い方をするならいいと思うんですけど、普段以上に正面に立たないことを意識するとただ逃げちゃう展開になるかなと。やっぱりみんな、逃げているうちに浮いてきちゃっているんですよね」

――「浮いてきちゃう」というのは?

「ステップを踏んで体が浮いている方が動きやすい、例えば縄跳びでも、前かがみで体を低くして足の裏を完全に地面につけたままだと跳べないじゃないですか。前方にだけ進むんなら前かがみになっていてもいいんですけど、右にも左にも行きたいとなると体を起こしている方がいい。そうすると自然と体が浮いてきちゃうんですよね。佐藤選手は基本的に体を浮かせているタイプですが、それでも前に行くプレッシャーはかけていたりはするので、シウバ戦でどうなるかですね」

――佐藤選手は、シウバがバテることも意識していました。

「ただそこも、タックルに来させないとバテないと思うんですよね。タックルに来たところを切って切ってとやっていればバテると思うんですけど、佐藤選手が足を使って(かわそうとして)いたらシウバはバテないと思います。メンタル的にもそうだし、フィジカル的にもタックルの倒し際(きわ)が一番疲れるので、そこの攻防を何回も繰り返せばバテると思うんですけど、打撃で上手くやろうとしたらダメじゃないかなと。打撃で勝負しながらタックルに来たら潰したり、その攻防を繰り返せばいいと思います。

でも難しいですよね、ONEの判定基準ではテイクダウンされることがあっても何もさせなければポイントにならない。そうすると打撃は絶対に佐藤選手の方がいいんで。ただそれも距離を取ろうとすると良さが消えると思うんですよね。シウバのように頭を下げて振ってくるパンチって、前に出てくる相手には当たりにくいけど、下がる選手には当たりやすいんですよ。だから佐藤選手が勝負しに行ったらいけるんじゃないかと僕は思ってます」

――グラウンドコントロールを重視しないONEの判定基準も作戦には影響してきますか?

「影響するんじゃないですかね。下になっても立ち上がればいいだろうというのは佐藤選手のようなタイプとしては楽ですよね。しかもグラップラーからすると、寝かせただけでは評価してくれないんだったらパウンドを打とうと思う。そうすると隙間ができて立たれやすくなってしまう。だからONEの判定基準は佐藤選手に有利だと思います」

――王座戦の5Rとは異なり、今回のような3R制なら、シウバはバテずにタックルを続けられるでしょうか。

「うーん……3Rだったら僕は結構続けられるんじゃないかと思うんですけどね」

――シウバはバテるとグラウンドで下を選択することもあります。そうなればパウンドが得意な佐藤選手は有利になりそうですが。

「そこは相当チャンスだと思います。やはり佐藤選手くらい殺しに来る気迫があると寝技をやる中のパウンドじゃなく、本当に倒しにいくパウンドだから。しかもONEはグラウンドでのヒザもある。下の選手のストレスってすごいんですよ、特にシウバみたいなグラップラーにとっては。だから勝負してほしいですね、足を使っていいんだけど、タックルを来ても潰すという気迫で」

――佐藤選手のパウンドは非常に的確ですが、なぜここまで精度と強度を伴ったパウンドが打てるのでしょう?

「姿勢がいいんですよ。ウチのジムも最近パウンドの練習をしているんですけど、下手な選手は体を起こしてパウンドを打つ。でも僕はパウンドって“四つん這いの感覚”だと思うんですよ。いつでも手を地面につけるような体勢で打つ。体を起こした状態だと相手の顔が遠いし、相手も自分との間にヒザを入れて体を遠ざけやすい。そういう距離から打てるのは鉄槌くらいです。でも佐藤選手は覆いかぶさるように前かがみの体勢だから強いパウンドが打てる。手を着かずに足だけでバランスを保とうとするのではなく、手をついてもいいと思いながら前に体重を乗せてパウンドを落とすんです。クローズドガードだったらパウンドで、ハーフガードだったらヒジ。で、脇を差されたら頭で相手を押してキープする」

――そのようなパウンドをなぜ他の選手は打てないのでしょうか。

「四つん這いになる感覚が難しいんじゃないですかね。僕が思うのは、こういうのってレスリングのバランスに近いんです。レスリングは四つん這いになるバランスが必要で、僕が四つん這いで、立っている相手の上を通り過ぎるように歩けば絶対に相手は倒れるじゃないですか。その点、柔術とかはパスガードとかも二本の足で立って動いたり、密着して圧をかけたりと、あまり四つん這いという感じではない」

――ただ佐藤選手はヒザをついた状態だけでなく、中腰で立っている状態からのパウンドも強烈です。

「普通に立っているのと、いつでも手を着けるバランスで立っているかの違いです。佐藤選手は相手が距離を取ろうと押し当ててくる足に乗っかるようにして打つんです。それをどけられたらマットに手を着くくらいギリギリのバランス。日本でこういうことをやれる選手は何人かいるんですけど、その理屈を説明出来ている人はあんまりいないんじゃないのかな」

――対してシウバの強みは?

「とにかく寝技が上手いこと、それに相手が立とうとするとすぐに尻を上げてまた寝かせることができる。あとタックルがレスリングじゃないから走れるんですよ。普通MMAのダブルレッグ(両足)タックルだと、ポンとダイブするように入る。当たれば倒れるけど、それだけに距離が大事になってくる、遠いと外されてしまいますから。それに対してシウバのタックルは、ダイブせずに走る。それで金網に押し付けたら、そこからどうにかできると。寝技みたいなもんですよ、マットにつけたらよし、みたいな。多分シウバは壁につくまで何で相手が倒れるのか理屈で考えてないんじゃないかと思います。壁についたらこうやるぞ、という作戦がある。これは僕もそうだったから分かるんですけど」

――勝者の賞金額が5万ドル(約535万円)と大きい、ブラジル人ならではのハングリーさもシウバの強みなように思いますが。

「でもそれは日本人も一緒だと思うんですよ。よくブラジル人選手はお金がかかると変わるとかいいますけど、日本人の選手だってお金持ちじゃないですからね。ある程度のレベルまで行っても仕事しないといけないし。だからハングリーさってあまり関係ないと思うんですよ。ケンカ腰で来る選手はハングリーに見えるし。だから倒す気で来ているか来ていないかだと思うんですよ。海外の選手はみんなスポーツ感覚で来ていない。スパーリングでも倒しに来ている人と、技術を深めようとしている人だったら前者の方が強いんですよ。倒しに来る人の方が踏み込んでくるから。

同じように試合でも倒しに来ている選手とただ勝負に勝ちに来ている選手だったら前者の方が強い。最近日本人の選手を見ていてそこにすごくフラストレーションを感じるんですよ。お前らスポーツしてんなあ、って。だから日本人選手が負けるのはそういうファイトの部分もあると思うんです。ボクシングやキックの選手が日本人のMMA選手を見ても同じような事を思うと聞いたこともあるので。脳のダメージにしてもすごく気にしすぎて練習を休んだりするけど、ボクシングの選手の方が練習でもっと打たれてるのに、みんな壊れているかっていったらそうじゃない。相手のパンチが見えていればそうそう効かない。そしてどうやって倒す感覚を掴むか。変に頭でっかちになっている選手が多いように感じます」

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最終更新:10/9(水) 15:51
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