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白人男性が中心のテック業界は、その「起業家精神」をつくり変える時期にきている:メリンダ・ゲイツ

10/9(水) 12:41配信

WIRED.jp

ベンチャーャピタルは未来のリーダーを決める上で大きな影響力をもつが、この世界の人間は82パーセントが男性で、7割は白人だ。イノヴェイションは動き出す前から、すでに失速している。わたしたちは「起業家精神」そのものからつくり変えていく段階に来ているのではないか──。慈善家でビル&メリンダゲイツ財団共同会長であるメリンダ・ゲイツによる、『WIRED』UK版への寄稿。

「起業家精神」そのものを変える

いまから10年ほど前の話だが、英国の市場調査会社が働く人たちに対し、ビジネスの世界で使われている独特の言い回しで嫌いなものを尋ねたことがあった。結果は首位が「型にはまらない考え方をする(thinking outside the box)」で、「連絡をとる(touch base)」が僅差で2位につけた。この調査はその後も定期的に続けられたが、「型にはまらない」は常にトップの座を維持している。

あなたがこのフレーズにうんざりしているのであれば、安心してほしい。「箱の外(outside the box)」はどこなのかという話をするわけではないからだ。わたしは世界の人たちにもっと革新的な考え方をしてもらうための活動をしているが、「どこで」考えているのかではなく、考えているのは「誰なのか」ということを問題にしている。

まずはヴェンチャーキャピタル(VC)だ。VC業界は、未来のリーダーと社会から取り残される人たちを決めるうえで大きな影響力をもつ。ビジネスとして成功しそうなアイデアがあるなら、VCから資金を得ることで第一歩を踏み出せる。ただ、データを見ていくと、成功に向かって歩き出すには「男であること」が最低条件のように思えてくる。

成功する起業家は「オタクの白人男性」?

2017年に米国のVCによって行われた投資のうち、女性によるスタートアップが対象のものは2パーセントにとどまった。黒人女性に限ると、割合はわずか0.2パーセントになる。

VC業界は、成功する起業家は「オタクの白人男性」という思考回路をつくり上げることで、起業家精神に制約をかけてしまっている。だが、この思考回路は破壊できる。そして、これを打ち壊せれば、革新的な時代が訪れるのだ。

この業界は82パーセントが男性、しかも7割は白人という偏った世界で、業界内の多様性改革が必要とされている。多様なバックグラウンドをもつ投資家が増えれば、それは投資先にも反映されていくはずだ。VCのBackstage Capitalを率いるアーラン・ハミルトンは黒人女性を対象としたファンドを立ち上げたとき、「世間では“多様性”ファンドと呼ばれているけれど、わたしは個人的には“もういい加減になんとかしないとね”ファンドと呼んでいる」とツイートした。

並行して、ほかの改革も進めていかなければならない。キャリア開発プラットフォームのMuseを立ち上げたキャスリン・ミンシューは、VC業界は「女性創業者への差別や嫌がらせに対して、職場での差別やハラスメントと同じ厳格なルールを適用する」よう求めている。

Aspect Venturesの共同創業者であるテレジア・ゴウとジェニファー・フォンスタッドは、多様性を確保する上で、科学の世界で効果の証明されている手法を採用する。つまり「仮説を立て、それを検証し、徹底したデータ分析を行う」のだ。

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最終更新:10/9(水) 12:41
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