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「絵は一人では描けない」「小さい時に見たものが人生を決めていく」 千住博さんら専門家3人、小学生親子にアートを語る

10/10(木) 16:14配信

オーヴォ

「絵は一人では描けない」「小さい時に見たものが人生を決めていく」 千住博さんら専門家3人、小学生親子にアートを語る 1/3

 子どもの豊かな心と想像力を育む“アート”。兵庫県芦屋市の氏神様・芦屋神社で9月14日、世界のアートの第一線で活躍する専門家らによるトークイベント・第1回「親子で楽しむアート ぼくの大好きな美術」(堂島リバーフォーラム主催)が開催されました。地域の小学生親子60組を前に、日本画家の千住博(せんじゅ・ひろし)さん、三菱一号館美術館館長の高橋明也(たかはし・あきや)さん、美術史家・明治学院大学教授の山下裕二(やました・ゆうじ)さんの3人が、ざっくばらんなアート談義を展開。芸術の秋にぴったりなイベントとなりました。


■幼少期の作品は保存がオススメ

千住:皆さん、こんにちは。僕は絵描きの千住博です。今日はいくつかの作品を通して、絵のことを話していきますね。まずは5歳の時の作品。真ん中のお家が黄色で、黒い水玉が描かれている。草間彌生(くさま・やよい)より僕が先にやってたんですね(笑)。


山下:なんで水玉?

千住:多分石を描いたんです。工事現場で働いているおじさんたちがいるし。トンボも飛んでますね。自動車も描いてある。いろんなものに興味を持って、夢中になっていろんな色を使っていたようです。自分が描いた昔の絵って、取ってある?

高橋:たくさんあります。飾ってありますよ。

山下:僕も描いていたけど、全然残ってない。

千住:絵を残しておくって大切、今にして思えば。母が全部取っておいてくれました。今は京都造形芸術大学の所蔵品になっている。こうやって見ると、今の原型ですね。当時から建物を描いていたり、いろんな色を使ったり。最初からあったんだなと。

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■絵は一人では描けない

千住:これは僕が滝の絵を描いているところ。絵を描くというと筆で描くものと思われていますが、僕の場合は上から下に絵の具を流すんですね。どうしてかというと、滝っていうのは上から下に液体が流れているものだから。絵の具による直接の滝を作ってしまおう、という発想だったんです。


千住:大きな絵が多いので、アトリエにはスタッフも何人かいます。高さのある作品は、脚立に乗っても一人が押さえていないとひっくり返っちゃう。スプレーガンで絵の具を吹き付ける時は、コンプレッサーを調整する係もいる。決して僕一人で描いているわけじゃないんです。


千住:どういうことかというと、一人で何かをしている人って、多分世の中に誰もいない。みんなお互いに助け合っている。それが世界だと思うんです。絵でさえ決して一人で描いていない。浮世絵でも、葛飾北斎は下図を描いただけ。別の人が彫って、別の人が色をつけて、別の人が刷って。

高橋:もしお手伝いの人がいなくて千住さん一人で描いたとしても、絵を見る人がいなかったら何にも成り立たないですね。

千住:そうです。紙を作る人も、額縁を作る人も、展示をする人も。それが社会なんです。一人で成立していない。


千住:ロビンソン・クルーソーみたいに無人島に一人でいたら、そもそも絵を描いていたかどうか。絵はコミュニケーションだから、相手がいてコミュニティーがないと、成立しないんです。無人島に仮にゴッホやピカソが流されても、絵は描かないでしょう。

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最終更新:10/10(木) 16:14
オーヴォ

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