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走り幅跳び・橋岡優輝「8m50を跳べば、オリンピックのメダルは穫れる」

10/10(木) 12:01配信

Tarzan Web

日本人にはまったく歯が立たなかった走り幅跳び。橋岡優輝は、この競技を技術的に深く掘り下げることでついに世界と対等に戦える選手に成長したのだ。(雑誌『ターザン』の人気連載「Here Comes Tarzan」、No.773より全文掲載)

まさかの1日で2度の日本新記録。

2019年8月に行われた、アスリート・ナイトゲームズ・イン福井。男子走り幅跳びでは、とんでもない出来事が起こった。

まず、この大会まで日本歴代2位の記録を持っていた橋岡優輝が、1回目のジャンプで8m32を跳ぶ。これは1992年に森長正樹氏(彼は現在、日本大学で橋岡のコーチを務めている)の打ち立てた日本記録8m25を超える新記録であった。

これで、優勝は確実と誰もが思っていたとき、3回目の跳躍で城山正太郎がなんと8m40という、ビッグジャンプを見せたのである。

これは、今季世界最高に1cm及ばないだけの距離で、日本の幅跳び選手として、この2人は近年では初めて世界と戦えるレベルに達したといえよう(走り幅跳びのオリンピックでの日本勢のメダルは36年ベルリン・オリンピックの田島直人まで遡る)。

助走というのは、速ければいいというものじゃない。

これからの両雄の戦いにも注目したいわけだが、実績という面では橋岡が一歩抜きん出ているのは事実である。4月に行われたアジア選手権で、8m22で優勝しているし、コンスタントに8m台を出すことができるからだ。

対する城山の日本記録は、自己記録の8m01を39cmも更新したものだった。ただ、この記録を出して、城山がこれからさらに力をつけていくことは確実であろう。

話を橋岡に戻す。今回の取材のときに、やはり話に上ったのがアジア選手権のことであった。その記録は素晴らしかったし、世界選手権内定へとつながるきっかけにもなったろう。彼にとっては、何よりもうれしい跳躍だったに違いない。そう思って、あのときの感じを聞いてみると、浮かない顔をしてこう語ったのだ。

「渾身のジャンプはできなかったですね。まぁ、集中はしていて、いい状態ではあったけれど、自分の納得がいくジャンプではなかった。走り幅跳びの助走というのは、速ければいいというものじゃない。100mを走る技術とは別物なんです。踏み切るという結果に対して、助走はあくまで過程です。あの記録のときは、自分のイメージしている走りには、まったくなっていなかったんです」

それで、あそこまで跳べるということは、完璧なジャンプをしたらどれほど距離を伸ばせるのか…。とは、誰しも考えることだろう。そして、8月の8m32という結果を見て、納得するのだ。

しかし、橋岡本人はこの記録にも「助走が詰まっていたし、踏み切った感じではなく、そのまま流れてしまった。だから32cmにはびっくりした」と語っているのだ。つまり本人は、こんなものではないと考えているのである。

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最終更新:10/10(木) 12:01
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