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【男子バレー】世界を驚嘆させた男 石川祐希 アーカイブ『アスリートの肖像』

10/10(木) 17:41配信

バレーボールNEXt

バレーボールNEXt本誌において、ほぼ1年おきに連載している『アスリートの肖像』。石川祐希、柳田将洋、山内晶大、高橋健太郎。4年前のワールドカップで、当時の南部正司日本代表監督が命名した“NEXT4”の4選手を、バレー界を見続けたジャーナリスト米虫紀子氏が取材、執筆した企画の第1回の記事を、ここに掲載します。
初回は、今や日本のエースとなった石川祐希です。

※本文中の肩書き、所属はすべて2015年現在のものです。

どちらが本当!? コート上で魅せる姿と普段はまるで別人

「バレーをしている時と、そうでない時は、まるで別人」
 これは、石川祐希(中央大2年)に近い人々が揃って口にする石川評だ。
 石川の母・みどりさんはこう話す。
「普通の時と、バレーをやっている時とでは全然違いますね。普段は『おとなしいですね』と言われる子でした。授業中に手を挙げたりもしなかったですし」
 寮で同室だった中央大学4年の今村貴彦もこう明かす。
「本当に彼は、バレーになったら人が変わる。部屋ではダラダラとベッドに引きこもってたりするんですけど(笑)、バレーでの集中力はすごい。相手が誰であろうと表情を変えることがないですし。オンとオフの切り替えがハッキリしていますね」
 普段はあくまでマイペース。全日本の薩摩川内(鹿児島県)合宿に初めて参加する時に、「パスポートはいりますか?」と聞いたという天然エピソードもある。
 しかし、ひとたびコートに入ると、大胆かつ創造力あふれるプレーで見る者を惹きつける。
 冴えた頭の中で、その時、取るべき最適な手段を選び、実行するクレバーさと技術力。加えて、勝ちにこだわる負けん気の強さも秘めている。

コート上では、やられたらやり返す。強気が信条

 2015年のワールドリーグでこんな場面があった。
 5月30日のチェコ戦。日本が第1セットを取られた後の第2セットの出だし、石川は強烈なサーブを打ち込んでサービスエースを奪った。試合後、そのことを聞くと、石川はニヤッと笑ってこう言った。
「その前のセットに、僕のスパイクで1本ワンタッチがあったんですけど、アウトと言われた。その選手だったので……」
 つまりはこうだ。第1セットのチェコの24点目は石川のスパイクがアウトと判定されたものだった。その時、石川は、ブロックのワンタッチがあったと主張したが、判定は変わらなかった。絶対にワンタッチがあったと確信していた石川は、その時ワンタッチしたチェコの選手を、次のセットにサーブで狙ってエースを奪い、密かにやり返していたのだ。
「そういうのもあっていいかなと思っています。自分を上げるため、いいものを引き出すためには“遊び”の部分があってもいいんじゃないかなと。全日本で“遊び”と言うのはあんまりいい言い方じゃないかもしれないですけど」
 そうして一瞬一瞬の勝負を楽しんでいるからだろうか。勝敗を左右する緊迫した場面で、石川にトスが上がったり、サーブが回ってきたりすると、「何かやってくれるんじゃないか」とわくわくさせられる。そして実際、その期待に応えてくれる勝負強さを持った選手だ。

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最終更新:10/10(木) 17:41
バレーボールNEXt

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