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営業利益50倍に、吉野家を救った超特盛とトランプ大統領

10/10(木) 7:00配信

日経ビジネス

 牛丼大手の吉野家ホールディングスは10月8日、2019年3~8月期決算を発表した。連結売上高は前年同期比6.7%増の1070億6600万円、営業利益は前年同期の5500万円から大きく伸ばし、29億3600万円となった。既存店売上高も好調に推移しており、3月以降は7カ月連続で前年同月を上回っている。

【関連画像】牛丼の新サイズの「超特盛」と「小盛」は発売直後から計画の2倍の売り上げで推移。「超特盛」の写真はこちら。

 業績回復の要因の1つは、新商品が立て続けにヒットしたことにある。牛丼の新サイズの「超特盛」と「小盛」は発売直後から計画の2倍の売り上げで推移し、超特盛は1か月で100万食を販売した。また、コメの代わりにキャベツやブロッコリーなどの野菜サラダを使った「ライザップ牛サラダ」やサーロインを使った「特撰 すきやき重」も新規顧客の獲得に大きく寄与した。

 さらに前期(19年2月期)は業績悪化の原因となった原料の価格が下がったことも好材料だった。牛丼大手各社が原料として使っている米国産牛肉(冷凍・ショートプレート)の価格は7月と8月の2カ月連続で、前年同月比で1割以上下落した。ある牛丼チェーン大手の関係者は「米中貿易戦争の影響で、中国が米国産ではなく豪州産の牛肉輸入にかじを切っていることも大きいだろう」と話す。吉野家HDの河村泰貴社長も会見で「昨年よりも有利な条件。好影響を与えた」語った。

 吉野家HDは19年2月期に6期ぶりの最終赤字に転落した。大手牛丼3社の中で「一人負け」の業績となったが、半年で盛り返した格好だ。それでも「黒字とはいえ利益率は十分な水準ではない。まだまだ課題はある」と河村社長に笑顔はない。

 原因は10月1日からの消費増税。吉野家では1日から15日午後3時まで牛丼・牛皿全品10%オフのキャンペーンを実施しているが、「イートインが若干ではあるものの前年割れしている」(河村社長)とすでに増税の影響が出始めている。一方で、税率が8%となるテイクアウト(持ち帰り)は需要が伸びているといい、2%の税率差に消費者は敏感に反応しているようだ。

 外食では、吉野家のほかにも中華料理チェーンの日高屋が餃子の税込み価格を10月は期間限定で60円値下げするなど「値下げ合戦」の様相を呈している。値下げをすれば利益率は下がるが「『外食は高く、コンビニは安い』というイメージを持たれて、客足が遠のくことが1番怖い」(河村社長)と身を切ってでもキャンペーンを打たざるを得ないの実情だ。増税後も好調は続くのか。吉野家の真価が問われるのはこれからだ。

神田 啓晴

最終更新:10/10(木) 7:00
日経ビジネス

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