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ECBの9月政策理事会のAccounts-Reservations

10/11(金) 9:00配信

NRI研究員の時事解説

はじめに

ECBの9月政策理事会は、金融緩和の実施自体には幅広い支持を示したが、資産買入れの再開等には様々な留意点(reservation)が指摘されたことが確認された。

金融市場の評価

クーレ理事はこの間の金融市場の特徴を総括し、第一に世界経済の鈍化懸念を映じて実質金利の低下が大きく、第二にドイツ国債の利回りからみて、ELBによる長期金利の反応の非直線化はみられないが、短期市場の取引低下からみて、ELB自体への意識は窺われるとした。

第三に、国債利回りがマイナスとなったことに伴って、市場がヘッジの場をスワップへシフトさせたことで、これまでドイツ国債の量的不足の指標とされてきたドイツ国債とOISとの利回りスプレッドが拡大したり、金価格が継続的に上昇したりしているとした。

景気と物価の判断

レーン理事は執行部の立場から、貿易摩擦を含む海外要因による製造業の減速を主因に、ユーロ圏の景気の弱さが長期化する状況にある点を認めた。一方で、雇用の堅調さやマインドの良好さ、バランスシートの健全さなどに支えられて消費は底堅さを維持しているとの理解を示し、住宅投資の堅調も指摘した。

これらを踏まえ執行部は2021年にかけての景気見通しを引下げたが、緩和的な金融環境や家計の良好な環境、財政スタンスの緩和等の下支え要因を挙げた一方、設備稼働率の低下や(雇用面の)供給制約といった要因も成長を抑制するとの認識を示した。

政策理事会メンバーもこうした見方を幅広く(broadly)共有したが、外需の停滞が時間とともに内需に波及するリスクや円滑でないBrexitを考えると、見通しは楽観的過ぎるとの見方も示され、一部では輸出の減速が雇用に影響し始めていることも指摘された。

物価に関しても、基調インフレが低位であり、目標への収斂に時間を要するというレーン理事の評価に、政策理事会メンバーも広く(broad)合意した。また、景気見通しが不透明な下では賃金から物価への波及も不確実になっているとの指摘もなされた。

なお、インフレ期待について政策理事会メンバーは足許で変化なしとの理解を示した一方、低位で推移し続けることへの懸念も示された。また、市場ベースの期待は、リスクプレミアムの動きに左右される点に留意が表明された一方、それ自体が低インフレに対するヘッジニーズを反映している可能性も指摘された。

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最終更新:10/11(金) 9:00
NRI研究員の時事解説

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