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松崎ナオの音楽が息づく、『ブルーアワーにぶっ飛ばす』

10/11(金) 13:29配信

フィガロジャポン

主人公ふたりを、夏帆とシム・ウンギョンが好演!

最近、会う人みんなに薦めている映画は、『ブルーアワーにぶっ飛ばす』。監督はCM界の第一線で活躍する箱田優子で、脚本も手がけている。主人公は仕事に追われる30歳のCMディレクター、砂田夕佳。監督のゆかりの地でも撮影していることから、自身と被ると思われる部分は少なくなく、それだけにこの作品に対する思い入れの強さを感じる。なにより、日常をそのまま切り取ったような展開に、多くの人が共感すると思う。

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砂田を演じる夏帆が、「いまいちばん自分がやりたかった役とやっと巡り合えたと、心から思えました」(資料より)と公言し、「共感する部分がたくさんあった」と話しているだけに、とにかくすごくいい! 間違いなく彼女の代表作になるはずで、この作品を観たら、みんな彼女のファンになってしまうのでは。そして、もうひとりの主役、清浦あさ美を演じるシム・ウンギョンも素晴らしい。この役も最高でしょう。このほか、出てくる役者がみないい味を出していて、脚本はもとより、演出にも監督の手腕が存分に発揮されている。

生きていく自分自身との対峙はもちろん、心の機微に触れるであろうシーンが随所にちりばめられている。ロードムービー的な要素もあり、そこに導かれながら、ちょっとした“あや”に気付くおもしろさも。砂田の日常を通して、常日頃自分が思っていたり、考えるのを避けていたことを見直せる部分もあると思う。

音楽担当の松崎ナオには、台詞やSEも音楽に聞こえていた。

なかでも好きなのが、この映画にあふれるウィット。そして、そこに共鳴し、響かせているのが、松崎ナオが担当した音楽である。箱田監督と松崎ナオに話を聞いたところ、松崎はこれまで映画に音楽を付けた経験がなかったため、またプログラミングといった作業もできないので、最初は思うままに映像に音楽を付けたという。

「台詞の素の音がおもしろかったので、歌としてコードか何か付けちゃえばいいのかな、とか、風の音や物音とか全部声でやったらおもしろいかなと思って、とりあえずやりたいと思う、浮かんだものは1回再現して聞いてもらおうと思っていました」(松崎)。

つまり、映画の主人公のほかに、松崎ナオも歌や音楽で常に存在している状態だったという。その音源付きの映像を最初に観た時のことを、監督は次のように話す。

「朝ワクワクしながら待っていて。で、来た!と思って、ダウンロードして観るじゃないですか。そうしたら(松崎ナオが)“ゲロッゲロ!”って言ってて、爆笑して、“初めて入った店で謎の丼を出してくれたけど、『これナニ飯なんだ!? うわぁ~、わからん!!』”みたいな状態」(箱田)

そのような全部に音楽や声を付けてきた前代未聞の状態から、音楽監修を担当した池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)などとも意見交換することで、現在の最終的な形に至った。「最初、台詞とかSEまで、この人には音楽に聞こえている、というのが衝撃で(笑)」と監督は話すが、初期段階からだいぶ修正されたものの、監督の意向から松崎ナオの持ち味もうまく生かされている。ちょっとした表情にユーモアあふれる音が付いていたり、松崎の声で表現された部分もあったり、音遊びの楽しさが映画に息づいているのだ。

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最終更新:10/11(金) 13:29
フィガロジャポン

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