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相次ぐ台風…自然災害で被災したとき、利用できる公的制度は?

10/11(金) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

日本列島に未曾有の被害をもたらした台風15号。追い打ちをかけるように、台風19号も接近している。昨今、JR/私鉄各線の計画運休も話題となり、「事前の準備」は国民の共通意識として高まりつつある。しかしその一方で、「被災後」の支援に関する情報はいまだ乏しい。そこで本記事では、台風などの自然災害によって被災したとき、どのような公的制度を利用できるのか、奥本聡行政書士が解説する。

被災したときに使用できる公的制度の数々

令和元年台風被災者の方にお見舞いを申し上げます。

台風15号は千葉県をはじめとして、東京、神奈川などの首都圏、茨城、静岡にも猛烈な被害を与えた。千葉県の農林水産被害は367億円を超え、同県では3.11以上の被害総額になる見込みだ。そして、千葉県南部、横浜市金沢区福浦地区、伊豆大島などは、復旧の目途が立っていない。

その後の台風17号でも、西日本各地に被害を与えた。特に宮崎県で撮影されたという鉄塔が倒れている写真は、台風の脅威を伝えるものであり、記憶に新しい。

振り返ってみれば、2016年熊本地震、大分県中部地震、2017年九州北部豪雨、2018年大阪北部地震、7月の豪雨(西日本豪雨)、台風21号、北海道胆振東部地震など、毎年予期せぬ災害が起きている。

来年もどこかで大きな災害があるかもしれないと考えるのは自然なことだ。そこで本記事では、公的な支援制度を確認し、その性質を理解する。そして、簡単にできる災害対策の1つとして火災保険を紹介する。

1:り災証明、被災届出証明書の発行

各都道府県では、「り災証明」を発行しており、この証明を貰わないと受けられない公的支援がある。

一般的に「り災証明」を貰うと、固定資産税や市県民税などの減免、市税の徴収猶予、国民健康保険・介護保険料・後期高齢者医療保険料・国民年金などの減免や猶予を受けることができる。

また、障害福祉サービスにおける利用者負担の一定期間の免除、保育所保険料の減免、一般廃棄物処理手数料の減免、自動車税の減免、生活福祉制度による貸付金の融資、災害復興住宅融資、災害援護資金の貸付け、学用品の給与などもある。

こうして並べてみると、り災証明がいかに役立つものかわかるだろう。被災したときはまず最初に思い出してほしい。り災証明とは、被災したという公的な証明なのだ。

なお、上記の制度は各自治体によって要件が異なっていたり、内容が変わってきたりするため、今回はすべてを記載することはできない。注意したいのは、り災証明を取得すれば自動的に適用されるのではなく、あくまで自主的に申請しなくてはならないという点だ。これらの制度は、ただちに生活を復旧するものではない。負担を軽減したり、時間的な猶予を与えたりする制度と捉えてほしい。

◆地域独自の支援制度

ユニークな支援制度を設けている自治体を紹介したい。

神奈川県鎌倉市では小災害見舞金という制度があり、台風15号の被災者(鎌倉市在住で、店舗や事業所を持つ人)が対象となっている。金額はわずかであるが活用したい。

また、静岡県伊東市では、り災証明の発行に合わせて、被災者自立生活支援補助金、伊東市災害見舞金、伊東市社会福祉協議会見舞金、静岡県共同募金会による見舞金の案内も行っている。そのほか伊東市では、上下水道料金などの減免、下水道受益者負担金の徴収猶予、台風被害にかかる修繕なども、リフォーム助成制度として組み込まれている。

最後に、東京都世田谷区では一般的な支援のほか、大きな被害を受けた世帯に対して見舞金や毛布の提供も行っている(これを知ったときは「流石世田谷区だ」と唸ってしまった。自治体の特色がよく表れているといっていい)。

住家に付随する家財道具、門柱などの外構が壊れた場合は被災届出証明書を発行してくれる。これには、り災証明ほどの効果はないが、保険の申請などで役立つことがあるかもしれない。

2:被災ゴミの受付

災害で発生したゴミの受付は、多くの市町村で実施されている。

千葉県の各市町村は当然のこと、茨城県では茨城県災害条例が適用され、農林水産業の支援を行っているが、それだけではなく、潮来市、神栖市、鹿嶋市、稲敷市(稲敷市ではり災証明が必要とHPに明記)などでは被災ゴミの受入れも行っている。神奈川県横浜市、三浦市、鎌倉市も同様だ。

なお、被災ゴミと一般ゴミの区別を厳密に行っている市区町村もあるので、注意しておきたい。また、被災によって想像以上にゴミが発生し、住宅などが汚れてしまった場合は、消毒の仕方なども自治体が相談に乗ってくれる。

3.災害見舞金、災害弔慰金、被災者生活再建支援法の適用
 

住家が全焼、全壊、流失、半焼、半壊をしたり、自然災害によって亡くなられた方、自然災害で障害を負った方がいたりする場合は、被災者生活再建支援法による支援(り災証明が必要である。台風15号では例外的に一部損壊の世帯にも適用された)、災害見舞金、災害弔慰金といった制度がある。

児童手当の特例も、り災証明が不要であり、児童扶養手当の特例も一部り災証明不要(千葉県君津市:10月10日時点)だ。独立行政法人日本学生支援機構による支援金も、一定条件のもとで給付される。

公的な支援というと、この災害見舞金や災害弔慰金のように、お金が配られるとイメージする方も多いかもしれないが、実際はレアケースである。これらは適用条件が厳しく、事態の重大さに比べ、支払われる金額は微々たるものにすぎない。

4.そのほかの相談受付

そのほかには、被災した住家などの消毒についての相談、緊急採用奨学金(り災証明不要)、教職員住宅の開放(千葉県)、国家公務員合同宿舎の無償貸出し(千葉県)、UR賃貸住宅の無償貸出し(千葉県)、県営住宅の無償貸出し(千葉県南房総市)などがある。金銭以外の支援も、積極的に展開されていることがわかる。

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最終更新:10/11(金) 11:00
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