Q1:糖尿病の薬を服用している人は、車の運転をしてはいけない場合があるのですか?
A1:インスリンや経口薬(特にスルホニル尿素〈SU〉薬、速効型インスリン分泌促進薬など)による薬物療法を続けていて低血糖になる恐れのある人で、低血糖時の対応が自分で速やかにできれば運転については問題ありませんが、低血糖時の対処をあえてしないで運転し、事故を起こした場合は問題になります。また、無自覚性低血糖のように自動車の運転に支障を来す可能性がある患者さんが、運転免許証の取得や更新時に虚偽申告をした場合には罰則規定があります。
無自覚性低血糖とは、低血糖の状態にあるにもかかわらず、手の震え、冷や汗などの低血糖症状(交感神経症状)を自覚しない状態をいいます。このような状態では、体へのサインがないまま突然、意識がもうろうとする、意識がなくなるなどの症状(中枢神経症状)が出てしまいます。意識を失って、他人の助けが必要となるような重篤な低血糖となる場合もあります。運転中にこのような状況になると、非常に危険であるため、無自覚性低血糖により意識障害を起こし得る患者さんは運転をしてはいけません。このような場合は医師に相談してください。
Q2:運転するときの注意点はありますか?
A2:米国糖尿病学会のアドバイスを引用(一部改変)すると、インスリン療法を行っている糖尿病患者さんが安全に運転するためには以下の注意点があります。
(1)長時間の運転をする際には休憩場所などもあらかじめ確認し、1~2時間間隔で血糖自己測定を行いましょう。
(2)運転するときは、ブドウ糖やそれに代わるジュースなどをすぐに手が届く所に置いてください。
(3)低血糖症状を感じたら直ちに運転をやめて、車を安全な場所に停めましょう。
(4)血糖自己測定で血糖値が70mg/dL未満と低かった場合は、吸収の速いブドウ糖や、ブドウ糖を多く含むジュースやスナックなど、血糖値を上げやすい食品をとりましょう。
(5)低血糖による補食後、15分待ち、血糖値が目標値に達していることを確認してから、運転を再開しましょう。
(6)もしもあなたが無自覚性低血糖を経験しているのなら、運転をやめ、主治医に相談してください。
(7)患者さんによっては、糖尿病網膜症により視力障害が起きている場合があります。末梢(まっしょう)神経障害により、アクセルやブレーキのペダルの感じ方が弱まっている場合もあります。早期に医師に相談しましょう。
兵庫県立尼崎総合医療センター 薬剤部 部長
糖尿病療養指導士兵庫県連合会副理事長
辻本 勉(つじもと・つとむ)
※「月刊糖尿病ライフ さかえ 2018年12月号」より
最終更新:2019/10/12(土) 10:05
月刊糖尿病ライフ さかえ



















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