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中東本格戦争に備えはあるか

10/12(土) 23:00配信

Japan In-depth

【まとめ】

・ ボルトン氏解任で中東での戦争勃発の可能性はむしろ高まった。

・サウジとイランの対立が戦争となれば、日本への中東石油は途絶。

・原発の大半が稼働停止の中、国会は石油途絶を想定した議論せよ。

10月11日、イラン国営メディアが、サウジアラビア西部ジッダ沖の紅海で、イランの石油タンカーが爆発を起こしたと報じた。タンカーの保有会社は「ミサイル2発による攻撃を受けた」と主張している。犯行声明などは出ておらず、詳細は不明である。いずれにせよ紅海、ペルシャ湾周辺が一触即発の状況にあるのは間違いない。

リベラル派には、戦争はアメリカが始めるものという固定観念がある。それゆえ、「強硬派」ボルトン大統領安保補佐官の排除で、アメリカがより自制的になり戦争の危機は遠のいたと胸をなで下ろす向きが多い。しかし事実はむしろ逆である。

現に、ボルトン解任直後の9月14日に、サウジアラビアの重要石油施設がドローンと巡航ミサイルによる攻撃を受けた。米政府は種々の証拠に鑑みイランの犯行と断定、欧州主要3カ国(英仏独)も「この攻撃の責任がイランにあるのは明らかだ。他に妥当な説明はできない」との共同声明を出している(9月23日)。

イランは関与を否定するが、米英仏独の情報機関の一致した見解よりイランの神権ファシズム政権を信用すべき理由はない。

ボルトン解任による抑止力低下で、中東における大戦争勃発の可能性はむしろ高まったと見るべきだろう。

資源エネルギー庁の「エネルギー白書2019」によれば、日本は石油のほぼ全量を輸入に頼っており、うち中東産が87%を占める。中でもサウジとアラブ首長国連邦(UAE)の比率が高い。

現在中東政治における最大の動因は、スンニ派の盟主サウジとシーア派の盟主イランの対立である。ペルシャ湾を挟む地域大国サウジとイランの間で本格戦争となれば、クウェート、UAEなどからのものも含め、ホルムズ海峡経由で日本に来る中東石油はすべて途絶することになろう。ちなみに日本の石油輸入における「ホルムズ依存度」は80%超である。

アメリカやサウジからあえて対イラン戦争を開始する動機はないが、イラン側にはないとは言えない。アメリカが主導する制裁の強化によって、イランは石油の輸出が益々難しくなっている。最大の得意先だった中国企業にもアメリカは「第三者制裁」に乗り出した。

追い詰められたイラン政権が、「ならばサウジも道連れにし、戦火の中に活路を見出す」と破滅的な賭けに出ても不思議はない。なにせ隣国の石油施設に突然ミサイルを撃ち込むという「国際経済秩序を人質にする卑劣極まる犯罪」(安倍首相の9月24日国連総会演説)を実行した政権である。

日本の政界では、「親日国家イラン」「イランと伝統的な友好関係をもつ日本」が枕詞だが、イランの現政権を文字通りそうしたイメージで捉えるなら甘すぎよう。

また、イランの指導部は基本的に国際常識に沿う存在だが、革命防衛隊に代表される「強硬派」ないし跳ね上がりが、かつての日本の関東軍のように、暴走を繰り返していると見るのも危険である。

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最終更新:10/12(土) 23:00
Japan In-depth

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