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3人で親になりました──新しいファミリーの広がり

10/13(日) 9:41配信

GQ JAPAN

2018年11月、トランスジェンダーの男性とパートナーの女性が、親友のゲイ男性から精子提供を受けて子どもをもち、3人で子育てをはじめた。ともに“父親”である杉山文野さんと松中権(ゴン)さんに話を訊いた。

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自認する性が男性でありながら、女性の体で生まれたトランスジェンダーの杉山文野さんとパートナーのあいさん(仮名)、そしてゲイの松中権さんに子どもができた。2018年11月に子どもが生まれてから、もう7カ月になる。(この取材は2019年6月に行われた)

「僕と彼女が子どもと住んで、週に1回程度はゴンちゃんがうちに来ます。毎週金曜日はゴンちゃんが保育園に送りに行くって決めたんですけど、なかなかそうもうまくいかないですね(笑)」

杉山さんが、楽しそうに子育ての日々を教えてくれる。彼が通っていた女子高時代の友人がママ友となって、LINEで育児の相談をしているそうだ。2019年1月にウェブメディア、BuzzFeedで子どもが生まれたことを公表し大きな話題を呼んだ3人だったが、松中さんは直前まで自分がメディアにでるかどうか悩んでいたと打ち明ける。

「異性愛者のカップルでも、精子提供者が顔を出すケースはほぼないですし、さらにゲイだとどうなるんだろうと……。この(アクティビストの)ふたりですし(笑)。でも『すごく幸せそうな写真』と周りに言われて、『誰かが最初にならないと』という気持ちにもなって、心を決めました」

心配をよそに、ネット上には祝福の声があふれ、ふたりのもとにはたくさんの「おめでとう」が寄せられた。親しいゲイの先輩は「こういう選択肢があることを10年前に知っていたら自分も考えた。羨ましいよ」と話したという。

親友である杉山さんと松中さんの出会いは、2009年に遡る。新宿2丁目のバーで出会い、共通の友人をきっかけに意気投合。松中さんが渋谷の神宮前2丁目に引っ越し、杉山さんの働くバーに足を運ぶようになり、東京レインボーウィークの立ち上げや渋谷区のパートナーシップ条例の制定のための運動など、LGBTに関する活動を行う仲間となった。

2014年、杉山さんは東京レインボープライドの代表に就任した。その頃から彼はあいさんと子どもをもつことについて話し始めたという。

「彼女が産むか、養子をもらうか。僕は彼女が産めるのであれば、産んでほしいなと思いました。では、精子提供はどうする? 精子バンクからもらうか、知っている人からもらうか。全く知らない人は不安。知っている人も、ストレートの人だと僕が嫉妬してしまうから嫌だなと。じゃあゲイの人がいいな、と必然的に選択肢が絞られたんです」

いっぽう、松中さんは、突然提示された選択肢に「すぐには想像がつかなかった」と告白する。

「僕、すごく親戚が多いんです。子どもは好きなのですが、(自分がなれるのは)お年玉をあげるおじちゃんくらいの存在なのかなと思っていました。僕は文野とあいちゃん、それに文野の親も知っているので、自分が子どもを欲しいという気持ちよりも、この家族のもとに生まれるんだったら、自分の精子を提供してもいいなと思いました」

同じ頃、長いあいだ杉山さんとの交際を反対していたあいさんの家族と杉山さんの関係に雪解けが訪れる。ふたりが付き合い始めて6年の月日が流れていた時だった。

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最終更新:10/13(日) 9:41
GQ JAPAN

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