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入院・交通事故… そのたびに、家族の結束が固くなる アンテプリマ、荻野いづみさん

10/13(日) 10:03配信

NIKKEI STYLE

息子は17歳になると、単身英国に渡っていきました。さらにフランスへ。15~18歳ごろの子育てが一番つらかった。息子が死んでしまうのではないかと毎日、不安で不安で。といって、何ができるわけでもありません。とにかく生きてさえいてくれればいいと願っていました。

フランスにいる4年間は一度も日本に帰らず独学で芸術やコンピューターを勉強していました。彼なりにやりたいことを見つけていたのでしょう。さらにマレーシアでコンピューターを学び、デジタルの世界に入りました。この間、パリで何度か食事をするのが精いっぱいでした。

41歳になった息子に「俺のこと育てた?」と聞かれるほど私の子育てはお粗末でしたが、3歳までは心身をなげうって、しかも楽しんで子育てをしたという自信があります。だから、今までやってこられたのだと思います。「あの子なら大丈夫」。いつもそう思えました。いろいろな問題がありましたが、そのたびに家族の結束は固くなったように思います。

スタッフから子どものことで相談されることがあります。そんなときは「時々親に反抗して、小爆発を起こしている方が安心よ」と言います。米国に渡った息子が爆発したとき、精神科医から「ギリギリこの年齢で爆発して良かった」といわれました。そこから彼は自分の人生を歩き始めたのです。

現在、日本には息子夫婦と3人の孫、私の父と4世代で暮らす家があります。3人の孫はインターナショナルスクールに通い、今年の夏はそれぞれ海外のサマースクールに出かけていました。自分なりの家族像をしっかり持つ息子をみると、いったいどこで学んだんだろうと感心してしまいます。私が心配した10代の頃とは打って変わり、すっかり落ち着いた姿を前にすると、子どもは親だけが育てるのではないのだと痛感します。息子は家族や友人たちに助けられ、見守られて育ったのでしょう。

(聞き手は日本経済新聞女性面編集長 中村奈都子)

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最終更新:10/13(日) 10:03
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