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個人なのに法人税?確実に財産承継するための「信託」基礎知識

10/13(日) 13:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

個人が持っている財産を守りながら、それを人に預けることを「信託」といいます。具体的には、本人が自分で財産を管理することに不都合が生じた場合、人に財産を預け、預かった人がその財産の管理を行いながら、生じた便益を本人に渡してあげる仕組みを指します。本記事では、岸田康雄公認会計士/税理士が、相続の生前対策として有効な「民事信託」の基礎知識を解説します。

1:「新信託法」による新しいスキーム

新信託法のもとで活用可能となった信託スキームのうち、事業運営に関連するものとして、受益証券発行信託、限定責任信託、事業信託、自己信託が挙げられる。

受益証券発行信託とは、信託行為により受益権を発行する信託である。この結果、資産の売買は、資産そのものでなくその資産から利益を受ける権利である受益権となる。受益権を小口化して売却することにより、信託を活用した資金調達が可能となる。なお、受益証券発行信託では不特定多数の受益者が存在することになるため、その課税方法は、受益者等課税信託ではなく法人課税信託である。

限定責任信託とは、受託者が受託した債務について、信託財産のみをもってその履行の責任を負う信託をいう。すなわち、受託者の信託事務遂行において第三者に債務を負った場合、その責任の範囲を信託財産に限定し、受託者の固有財産までは及ばないものとする信託である。ただし、債権者保護のため、信託財産に責任が限定される債務であることを登記しなければならない。

このように資産の信託と同時にそれを引当てとする債務の移転が可能であるため、ある1つの事業に属する資産と負債の両方をすべて信託するとすれば、事業そのものを信託している状態となる。これを事業信託という。事業信託によって、特定部門の資産及び負債を信託し、その事業が生みだすキャッシュ・フローを受益権の目的として第三者から資金調達するスキームが可能となる。

たとえば、会社が自社の一事業部門を自己信託し、その受益権を外部の投資家に売却すると、当該事業に係る設備、人員、知的財産権等を信託財産として信託できる。投資家からすれば、信託された事業の将来性やキャッシュ・フローのみによって投資判断すればよいので、意思決定プロセスが簡素化されることになる。

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最終更新:10/13(日) 13:00
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