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ひきこもり支援のカリスマ女性による"徹底的すぎる"世話焼きで「大人のひきこもり」をゼロにしつつある岩手県洋野町

10/13(日) 6:15配信

週プレNEWS

殺人事件の背景にひきこもり問題があったり、80代の親が家に閉じこもる50代の子を支える「8050問題」が話題になったり。今、「大人のひきこもり」が社会問題になっている。

【画像】ひきこもりから脱した人を積極雇用しているアグリ農園

負のイメージで語られることが多い、この問題。しかしこの特集では社会復帰を望む人と、その支援者の姿を追いたい。

ひきこもり者への「相談、指示、助言」をNGとし、情報提供に徹したことでひきこもり者の人数を10分の1にした秋田県藤里町(ふじさとまち)に続き、岩手県洋野町(ひろのちょう)を、現地で取材した。

■67歳の保健師が八面六臂の活躍
太平洋を望む岩手県洋野町はウニが特産の町。13年に放映されたNHKの朝の連ドラ『あまちゃん』の舞台になったことでも知られている。

だが、ここは自殺率が高い町でもあった。08年、人口10万人当たりの自殺者数は全国平均(24人)を大幅に上回る64.5人にまで達していた。

その頃、保健師の大光(だいこう)テイ子氏(67歳)は洋野町役場で健康増進課の課長を務めていた。

当時、がん検診の受診率を上げようと、地域で活動する保健推進委員に各家庭を調査してもらうと、「検診どころか、長い間家から出られない状態にある人がいる」との報告が相次いだ。

だが、すぐにひきこもり支援に着手することはできなかった。当時は自殺率の低減が町の重点施策で、福祉分野の人員と予算が限られるなか、ひきこもり支援は後回しにされたためだ。

そこで12年に40年近く勤めた町役場を定年退職した大光氏は、町が運営する地域包括支援センターに再就職し、ひきこもりの兆候が見られる"気になる人"への家庭訪問を開始した――。

秋田県藤里町の支援策はひきこもり者と一定の距離を保ち、情報提供と居場所づくりに徹底する点に特徴があったが、大光氏はひきこもり者がいる家庭を訪問し、徹底して"世話を焼く"。

象徴的なのがこの事例だ。

13年のある日、包括支援センターに「介護保険サービスを使ったほうがいい人がいるので、話をしてほしい」と地元の病院から電話が入った。それは70代の夫婦が住む世帯だった。

1度目に訪問した際は、夫から「困ってないから帰ってください」と門前払いを食らった。2度目は玄関先で世間話をし、3度目の訪問で、ようやく家の中に入れてもらえた。「足の踏み場もないくらいにモノとゴミが散らかった」居間にはベッドがあり、重い病気を抱えた妻が寝転んでいた。

聞き取りを進めると、夫には軽度な認知症の症状が感じ取れた。病院が「介護サービスを入れたほうがいい」と言うのも当然だったが、大光氏がそれを勧めても、ふたりは「いらない」の一点張り。いぶかしむ大光氏に、夫は奥のふすまを指さし、小声でこうささやいた。

「息子が20年、あの部屋から出てこない」

息子はこの家の長男で、40歳を超えていた。そして、夫がこう続けたという。

「息子はずっと仕事も収入もない。家もこのとおりで古いから、せめて、息子のために建て直してあげたい。だからお金には手をつけたくない」

だが、今どれくらい貯金があるかを聞いたら、家の建て替え費用には「まったく届かない額」だった。

夫が認知症を抱え、妻はほぼ寝たきりで、長男は20年のひきこもり。この状況を好転させるだけの資金的余裕もなく、「家は隙間風が入るほどガタがきている」。そんな窮状に直面しても、大光氏はあっけらかんと、こう言ってのけるのだった。

「銭っこないから大変だよなぁ。これから家族3人、まとめて面倒見っから、私に任せてくれない?」

どんな悩みもドン!と受け止める。この懐の深さが、大光氏の真骨頂でもある。

まず、両親に向けて要介護認定の手続きをサポートし、週1回のデイケアや生活援助などの介護サービスを入れた。

同時に、自己負担額が1割で済む介護保険を使い、レンタルの電動ベッドを導入するなどバリアフリー化を進め、傷んだ屋根や台所の床の修繕は町の補助事業を使った。これは町内の事業者を使えば、かかった修繕費用の2割が町の商店で使える商品券としてバックされるというもので、そこで交付された約10万円で紙おむつなどの日用品を買いそろえるように勧めた。

こうして安価に家の中を見違えるほどキレイにした。

「住環境が整い、家の空気が入れ替わったら、20年部屋に閉じこもった息子さんとも少しずつ、会話の機会を持てるようになりました」(大光氏、以下同)

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最終更新:10/14(月) 1:57
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